高論卓説

100歳時代の生き方の極意 頭と身体を忙しく、目的は健康維持 (2/2ページ)

 なぜか、答えは楽しいから。生きるためでも、食うためでもなく、楽しく生きがいがあるから働く。それ以上の理由は必要ない。高齢になっても仕事を見つけることは困難ではない。ただし、学歴や前職の地位は忘れること。ゆっくりと自分のペースで働き、結果的に自分のためにも社会のためにもなる仕事を見つけることが大事だ。

 キーワードは欲張らない、こだわらない、競わない、比べない、見栄を張らないだ。目的は健康を維持するため頭と身体を忙しくしておくことなのだから。そのためには当然定年を迎える前に人生後半戦の戦略とゲームプランを考え始めるべきである。

 誤解を恐れずに言えば、長寿は決して良いことばかりではない。長生きとはある程度の健康を維持し、尊厳を持って生きて初めて長寿といえるのであり、ただ呼吸をしているだけの寝たきりの人生では長寿とはいえず、家族、社会、国に迷惑をかけているだけである。何よりも本人が一番辛い。

 60歳で定年を迎えたらすぐに再就職して働き始めても良い。が、1年でも2年でも休んで後半戦に備え充電してもいい。旅でも、趣味でも、ボランティアでも、現役時代にできなかったことを思う存分やってみる。誰のものでもない自分の人生なのだから。やりたかったことが仕事になるかもしれない。会社には頼らないしがみつかない、自分の人生だから最後まで自分の思うように自由に生きる。人生を2度も3度も楽しむ。これが100歳時代の生き方の極意だ。

 

【プロフィル】平松庚三

 ひらまつ・こうぞう 実業家。アメリカン大学卒。ソニーを経て、アメリカン・エキスプレス副社長、AOLジャパン社長、弥生社長、ライブドア社長などを歴任。2008年から小僧com社長。他にも各種企業の社外取締役など。北海道出身。

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