教育・子育て

「だって、ラクして稼げるから」 “夢はユーチューバー”と言い出す子の末路 (1/4ページ)

 「ユーチューバーになりたい」という子供の言い分を認めてもいいのだろうか。プロ家庭教師集団「名門指導会」代表の西村則康さんは「憧れるのは悪いことではない。だが中には、『ラクして稼げる』と思っている子供もいる。安易に言い出す子は、問題を抱えやすい」と指摘する--。

 「勉強さえしていればいい」という甘やかし

 ケイタイの発信元を見た瞬間、「また何かあったな」と悪い予感がした。スバルくんのお母さんから電話がかかってくるときはいつもそうだ。

 案の定、いつもの「先生、あの子を見てやってください! なんとかしてあげてください!」とすがる声。

 中学受験が終わって、すでに4年がたっているというのに、スバルくんのお母さんは、困ったことがあると必ず私に電話をする。今回は1週間後にある英語の定期テストを見てほしいという依頼だった。そこで赤点を取ると進級できなくなるという。

 スバルくんの家庭教師についたのは、小学5年生の時。3年生の頃からときどき電話相談を受けていたが、そのたびに転塾をくり返し、家庭教師をころころと変えていた。それでも一向に成績が上がらないので、最後の神頼みといった感じで、私に依頼が来たのだ。

 スバルくんのお母さんは教育熱心だが、幼い頃から「あなたは勉強さえしていればいいのよ」と、スバルくんを甘やかしてきた。幼い頃は素直に言うことを聞いていたスバルくんだが、やがて立場が逆転し、お母さんの言うことを聞かなくなった。勉強をしたがらないのも、親に対する反発心からくるものだと感じている。

 成績不振の原因は「親子関係」

 しかし、お母さんはスバルくんの成績が上がらないのは、塾のせい、家庭教師のせいと決めつけ、思いつきでコロコロと方針を変える。成績不振の原因は、指導者ではなく親子関係であることに気づかない。

 スバルくんは努力を嫌う。世間では、中学受験の勉強は詰め込みと思われているが、単に暗記や公式に当てはめるだけでは解けない。答えにたどり着くまでには、ああでもない、こうでもないといくつもの試行錯誤が不可欠で、それこそが中学受験の学びの良さだと思っている。それには単に知識を蓄えるだけでなく、考え続ける努力が必要だ。

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