原因菌の「苔」を除去 専用ジェルやブラシ
調査をすれば9割が「気になったことがある」と答える「口臭」。人知れず悩む人は少なくない。意外と知られていないのが、舌の汚れが口臭源となっていることだ。昨年以降、舌の汚れの除去を助ける歯磨きなどの発売も相次ぎ、口臭外来の専門家も舌のケアをと呼びかけている。歯磨きとともに舌の手入れも、ホームケアに定着しつつあるようだ。(津川綾子)
「鼻をつまみながら子供が『お母さん、口が臭い』と言うんです。子供は正直ですね」と話すのは、滋賀県大津市の主婦(43)。口の中が乾燥すると口臭がひどくなると聞き、こまめな水分補給と洗口液の使用も心がける。だが、いっこうに治らず、ママ友に不快な印象を与えないか、ひやひやしているという。
このように、口臭に悩む人は少なくない。歯科医師と歯科関連企業2社が立ち上げた「ブレス・ハザードプロジェクト」が今年4月、全国の20~69歳の4700人を対象に口臭への意識調査を行ったところ、自分の口臭が気になったことがある人が90・6%にのぼった。また複数回答で他人の口臭が気になる場面を聞いたところ、「仕事の打ち合わせ」(69・6%)、「挨拶(あいさつ)のとき」(46・0%)が上位に。いわば口臭は一般的な悩みになっているようだ。
では口臭の原因は何なのか。「体質によるものが4割で、あとの6割が口内環境の悪化」と話すのは、口臭治療を専門とする「中城歯科医院」(横浜市)の中城基雄(なかじょう・もとお)院長だ。
中城院長が口臭の発生源として特に指摘するのが、舌の汚れだ。「口内環境の悪化から発生する口臭の半分は、実は“舌の苔(こけ)”が原因」という。