いっしょに

(上)地域食堂「なつかしの家」 「おいしい」が励みに (2/2ページ)

 自宅で試作メニューを作り、写真共有アプリ「インスタグラム」の反応も気にしながら食堂での一品を決める。「インスタントのものはなるべく使わず手作りするのが私のスタイル。手をかけたものをおいしいと言ってもらえるのがベストだと思う」とやりがいを感じている。

 こだわりは食材にも。食堂を手がける一般社団法人「すばる」は、周辺の畑でナスやトマト、ピーマンなどの野菜づくりに取り組んでいる。こうした地域の野菜が食堂ではふんだんに使われる。「取れたての野菜を調理するのが一番ぜいたく」と阿部さん。

 ◆遠方から来客も

 始めたばかりの食堂とあって、まだそれほど知られていないが、デイサービスの利用者や、近所で独り暮らしをするお年寄りが利用するほか、遠方からも客が訪れるようになった。

 一般の客だけではない。食堂では「里・つむぎ八幡平」が運営するグループホームなど、施設への配食も行う。

 高橋理事長は「これまで各事業所で作っていたが、3食で1日5時間くらいかかる。セントラルキッチンを作って、空いた時間を利用者と触れ合う時間に充てたい」と理由を語る。

 配食用の食事を作る鈴木支麻さん(26)はここで働く前、病院で入院患者向けの食事を作っていた。

 「病院の食事はどうしても味が後回しになってしまう。ここでは普通食に近い形で、手の込んだものが作れるんです」

 地域に生かされ、地域に受け入れられて発展していく食堂。古民家の壁にある大きな神棚が、まちの高齢者を見守っていた。

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