教育・子育て

東大に行けとは言わない開成高校がなぜ、「東大合格日本一」なのか (2/4ページ)

 受験以外の目標をいかに定められるか

 進学校として知られる開成だが、昔も今も、勉強をするか否かは生徒に委ねられている。また、進路指導を学校が積極的に行っているわけではない。

 メディアアーティストであり筑波大学准教授・学長補佐の落合陽一氏(2006年卒)は、「開成は中高一貫校として中学で300名が入学しますが、高校からも100名が入学します。私も高校からの入学。入試はそれなりに難しいけれど、一度入学してしまうと学校は勉強せよと迫りません。だから好きなこと、やりたいことができます。それでも地頭がいいというか、ガリ勉じゃないのに成績のいい奴が何人もいて、高3が受ける模試で高校2年生が一番を取ってしまったり。とんでもなく頭のいい人がいますね」と話す。

 クリーンエネルギーの開発と支援に取り組むクリーンプラネット社長の吉野英樹氏(93年卒)は、「開成は進学校ではあるものの、大学受験がすべての目標ではありません。私は柔道部に所属していましたが、高2の運動会が終わった直後に翌年の運動会の団長選挙に立候補。橙(だいだい)組(5組)の団長に就任しました。高3の運動会まではガンガン体を鍛え、部活と運動会に備えたのです。運動会は生徒の自主運営で、学校は口を出しません。それくらいに大事な行事なのです」と言う。

 メインイベントは運動会の“棒倒し”

 高校は2年生から3年生になる時に組替えがなく、そのまま持ち上がる。メインイベントの棒倒しは、高校3年生と2年生のみの組別のトーナメントだ。ちなみに高1以下は、たとえば中1は騎馬戦などほかの競技が用意されている。また、仮装行列などのアトラクションがあり、女装した“ミス開成”が非公式に決まり、毎年話題となったそうだ。

 現在、内閣情報官を務める元警察庁の北村滋氏(75年卒)は、「警察官僚になった私ですが、当時は文学青年でした。それでもボートレースの応援指導、そして“棒倒し”がメインイベントの運動会には思い入れがある。質実剛健であり、ディスプリン(規律)が保たれていることが開成の特徴だと思います。卒業後も、省庁や会社ごとにOB会があり、何かと結束力は強い」と語る。

 73年に高校から入学した外務大臣の岸田文雄氏は、入ってすぐ衝撃を受ける。

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