機能性満載のデザイン
新型ジムニーとシエラのデザインについて否定的な意見は聞いたことがない。個人的には端正で個性的なデザインに突き抜けたカッコよさを感じている。筆者はフェンダー付きのシエラの方が好みだ。もちろんデザインにも実用性や機能性が盛り込まれている。
直線基調のスクエアボディーは車両の姿勢や状況を把握しやすい。Aピラーを立てたフロントガラスも横方向の視界確保に貢献しており、四方のガラス面を立てることで雪が留まらないようにしている。
室内も水平基調で傾きを把握しやすくした。助手席のグローブボックスの上にはグリップを配置しており、乗り降りのしやすさをサポートしている。センタークラスターにはパワーウインドーやヒルディセントのスイッチを配置。手袋をしたままでも操作しやすいよう大型のスイッチを採用している。
左右独立のリヤシートを倒せば352Lの荷室スペースが現れる。横方向に開くバックドアにより76mmという開口地上高の低さを実現しており、スクエア型の荷室内は四隅まで無駄なくスペースを使うことができる。
この手のクルマはぜひユーザーの個性と用途に合わせてカスタマイズしたいところだ。アクセサリーカタログを眺めているだけでもワクワクする。筆者なら釣竿3本を取り付けることのできるロッドホルダーやキャンプ用のカータープ、車中泊に使えるベッドクッションなどが購入候補となるだろう。山道や峠道を走るときは荷物が前後左右に滑りやすいため、固定用のベルトやネットも重宝する。
取材日となった9月3日の夜は、伊勢原や横浜町田IC周辺でゲリラ豪雨に見舞われた。横を走る大型バスやトラックから波のようなスプラッシュを何度も浴び、水たまりにハンドルを取られて直進するのも難儀した。伊勢原では霧が垂れ込めてテールランプしか見えない状態となり、激しい雨の中では車線を確認するのも困難なほど視界は最悪だったが、そんな中でもシエラが搭載するセーフティー装備により、車線逸脱やふらつき警報機能で運転をサポートしてくれた。高速出口では壁に激突したばかりの事故車に遭遇したが、そんな危険なコンディションの中でも先進安全装備のおかげで無事に戻ってくることができた。
実力を探るという意味では最低限の試乗ではあったが、約300kmの行程で走行性能のみならず、安全技術の面でも大きく進化した新型シエラの魅力を悪天候の中でしっかりと体験することができた。
《ヒトコト言わせて!》
スズキ広報部「ジムニーシエラは1977年に発売された0.8Lのジムニー8を原点とする、小型四輪駆動車です。フルモデルチェンジにあたり、新開発1.5Lエンジンを採用し動力性能を高めるとともに、伝統のラダーフレームを進化させることで、悪路走破性も高めました。幅広いお客様がレジャーを楽しみ、ライフスタイルを表現いただけるデザインと装備を採用した、末永くお使いいただけるモデルです」
【乗るログ】(※旧「試乗インプレ」)は、編集部のクルマ好き記者たちが国内外の注目車種を試乗する連載コラムです。更新は原則隔週土曜日。アーカイブはこちら
■主なスペック(ジムニーシエラJC)
全長×全幅×全高:3550×1645×1730mm
ホイールベース:2250mm
車両重量:1090kg
エンジン:水冷4サイクル直列4気筒
総排気量:1.5L
最高出力:75kW(102PS)/6000rpm
最大トルク:130Nm(13.3kgm)/4000rpm
トランスミッション:4速AT
駆動方式:パートタイム4WD
タイヤサイズ:195/80R15
定員:4名
燃料タンク容量:40L
燃料消費率(WLTCモード):13.6km/L
ステアリング:右
ボディーカラー:ジャングルグリーン
車両本体価格:201万9600円(税込)