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毎日心地よく暮らす人の脳は危険な状態? そのままだと人生が詰んでしまう (4/4ページ)

 前頭葉に記憶を引き出すとメンテナンスができる

 もう一つの意識的に思い出す記憶の整理術を説明しましょう。はっきりと意識するということは、前頭葉に記憶が引き出されるということです。

 前頭葉は脳の司令塔ですから、そこに記憶が引き出されることで、「この記憶をどうしようか」「どういう意味があったのか」と改めて脳のさまざまな領域に問い合わせができるようになります。現実世界にも照らし合わせて、広範な記憶のメンテナンスをしてくれます。

 意識して思い出す仕組みは、前頭葉の短期記憶の回路に、主に側頭連合野から記憶を引き出すことです。今の自分の前頭葉のスクリーンの中に、昔の記憶を映し出して、これからの役に立てることなのです。

 「ど忘れ」こそが脳を鍛えるチャンス

 意識的に思い出す場面とは、実は忘れてしまったときです。「あれ、何だっけな?」とものの名前や誰かと会う約束などをど忘れしてしまうことが誰にでもよくありますが、そのときは実は脳を鍛えるチャンスでもあります。思い出そうとしても思い出せないことはよくあって、そういう状態はイライラするので、思い出そうとすること自体をやめてしまう人がいますが、とてももったいないことです。

 思い出そうとするだけで効果があるので、実際には思い出せなくてもかまいません。思い出そうとする癖をつけることは、記憶を整理する一連の回路を鍛えることになるので、結果として物忘れを防止することになります。また最高の脳のアンチエイジングです。

 思い出すだけで脳が鍛えられる。これこそ、新しい脳の活用法です。

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 茂木 健一郎(もぎ・けんいちろう)

 脳科学者

 1962年生まれ。東京大学理学部、法学部卒業後、同大学院理学系研究科修了。『脳と仮想』(新潮社)で第4回小林秀雄賞受賞。『幸せとは、気づくことである』(プレジデント社)など著書多数。

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 (脳科学者 茂木 健一郎)(PRESIDENT Online)

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