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イクメンブルーにご用心 父親の仕事と子育て両立環境の整備を (1/2ページ)

 積極的に子育てに関わる父親「イクメン」に疲れ、体調不良に陥る「イクメンブルー」に気を付けて-。父親の子育てや家事への期待が高まる中、仕事との板挟みで追い込まれ、鬱を発症する人も出てきている。専門家は「父親個人や子育て家庭に努力を強いるだけでなく、両立が可能な働きやすい環境整備が不可欠」と訴える。

 パパ友がいれば

 群馬県片品村の介護福祉士、橋本直樹さん(41)は初めての子育てが始まり1年ほどたったころ、下痢や高熱に襲われた。体調不良が常態化し、月に2回は欠勤した。「体力には自信があったのに」。焦りが募った。

 結婚を機に仕事を辞めて、生まれ育った名古屋市から妻の故郷の群馬に移住した。知り合いは妻と義理の両親だけだった。慣れない仕事で疲れ果てて帰宅しても、家事と息子の夜泣きが待ち受ける。新しい職場で家庭のことを相談できる人は少なく、育児をしている同世代の男性もいない。

 「当時、逃げ場はありませんでした」

 次第に子育てや新しい仕事、地域にも慣れ、今や3人の男児の父親になった橋本さん。「子育て中のお父さんたちが気軽に集まって、悩みや愚痴を言い合える場所がほしかった。パパ友がいれば、もっと妻に優しくできたかも」と振り返る。

 世間からの重圧

 橋本家で育児が本格化した平成22年ごろは、イクメンという言葉が浸透し始めた時期だった。

 当時の長妻昭厚生労働相は「イクメンという言葉をはやらせたい」と述べ、男性の育児休業取得率を引き上げると宣言。橋本さんも「よい父親であるべきだという世間からの無言のプレッシャーを感じていた」と振り返る。

 男女共同参画白書によると、6歳未満の子供を持つ父親が1日に家事や育児をどれだけしたかの国際比較で、28年の日本は1日当たり83分。他の先進国と比べて低水準と指摘している。別の父親は「事情が違う外国と単純比較されて『少ない』と言われても…」と戸惑いを隠せない。

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