アスリートと重なるイメージ
足回りも同様で、微低速時の突き上げから、こいつが走りのモデルであることを匂わせるものの、路面のギャップを拾って脳天を刺激することもない。姿勢はフラットライドだ。勢いのあるコーナリングに挑んでも、不快なロールがあろうはずもない、という意味では硬く締め上げられた足と想像されそうだが、それが額面どおり、不快な突き上げのあるガチガチのサスペンションだとするのは誤解である。アスリートの脚は剛性が高いのにもかかわらずしなやかであるのとイメージが重なった。
そんなだから、穏やかな気持ちでクルーシングしている限り、エンジンやサスペンションの所作から、武闘派の雰囲気がしないのである。本革シートには赤いステッチがあり、サイサポート付近のデザインにも特徴がある。そもそも乗り込む前からして、低い車高や、ガンメタのホイールからキラリと覗くレッド塗装の対向ピストンキャリパーに瞳が射抜かれており、ただならぬ気配は感じてはいた。だが、エンジンが過激に吠えるわけではなく、乗り心地が悪いわけではない。ステアリングに忠実に、狙ったラインに反応することをスポーツとしているだけで、荒々しさはことごとく否定されているのである。
いやはや、スカイラインの復活の狼煙は、僕の想像を超える感覚で襲ってきた。いやそれ以上、内燃機関の時代はまだ続くのだと確信するほどの完成度である。
【試乗スケッチ】は、レーシングドライバーで自動車評論家の木下隆之さんが、今話題の興味深いクルマを紹介する試乗コラムです。更新は原則隔週火曜日。アーカイブはこちら。木下さんがSankeiBizで好評連載中のコラム【クルマ三昧】はこちらからどうぞ。