ヘルスケア

骨髄ドナーに選ばれたら仕事は? 有給「特別休暇制度」導入の企業が増加 (1/2ページ)

 競泳女子の池江璃花子選手の白血病公表をきっかけに、骨髄移植や末梢血幹細胞移植への関心が高まっている。骨髄バンクにドナー登録する人も急増した。ただ実際にドナーに選ばれれば、入院も含め10日ほど医療機関に足を運ぶ必要がある。仕事を休むのは勤労世代にとって大きな負担だ。そこで社員が安心してドナーの役割を果たせるよう、従来の年次有給休暇とは別に、有給の「ドナー特別休暇制度」を導入する企業が増えてきた。

 適合しながらも…

 「上司からは業務の都合など細かい話は一切なく、『しっかりやってきてください』とだけ言われた。職場の理解と休暇制度のおかげで提供できました」

 ジブラルタ生命保険(東京)の河原田宏司さんは今年5月、ドナー休暇を利用して骨髄を提供した。3泊4日の入院と、健康診断や採血などで計6・5日分の休みを取得したという。

 日本骨髄バンクによると、移植希望患者とHLA(白血球の型)が適合しドナーになると、確認検査や最終同意面談、骨髄や血液の採取前健診、採取のための入院、採取後健診などに10日前後が必要になる。だが、ドナー登録が可能なのは18~54歳。企業の中核を担う年代とも重なり、休暇取得のハードルは高い。

 平成30年度のデータでは、HLAが適合しながらドナー側の事情で提供に至らなかったケースの35%は健康上の理由だが、65%はそれ以外。このうちの45%は「仕事が休めない」といった「都合」の問題だった。

 その打開策がドナー休暇制度。バンクの集計では10月8日現在で467の企業・団体が導入した。政府も企業に導入を働きかける考えで、今後の拡大が期待される。ちなみに国家公務員は人事院規則で規定済みだ。

 「献血経験もなく」

 ジブラルタ生命保険の導入は17年8月にさかのぼる。ドナーになったときに給付金を受け取れる保険商品の取り扱い開始に合わせ、ドナーとして社会貢献する社員についても積極的に支援しようと休暇制度を整えた。

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