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怖い犬の歯周病 放置すると心臓など内臓にも影響を与えることも (1/2ページ)

 ペットの犬の健康のためにも歯磨きを-。大阪のトリマーと歯ブラシ製造会社が犬用歯ブラシを共同開発した。犬は歯周病にかかりやすく、内臓の病気につながる危険も潜む。高齢者を中心に「家族の一員」としての役割を担うようになってきた犬だが、歯磨き習慣はまだまだ浸透していないのが実情だ。関係者らは「愛犬と一緒に長く幸せの時間を過ごしたいと思うなら犬にも歯磨きを」と訴える。(勝田康三)

 きつい口臭が黄色信号

 犬用歯ブラシを共同開発したのは、大阪府和泉市のトリミングサロン「犬猫の床屋さんアクアマリン」を経営するトリマー、小谷由美さん(46)と、同府八尾市の歯ブラシ製造会社「ラピス」。

 小谷さんは7~8年前から犬の歯垢(しこう)・歯石取りのサービスを行っており、「口臭がきつい犬ほど口の中がひどく、見ていて痛々しい。なんとかしてやりたい」と思っていたという。ただ、市販の歯ブラシではうまく取れず、犬が痛がるといったことが続いた。

 そこで平成27年7月、「犬が痛がらない歯ブラシができないものか」と相談したのが、ラピスの乾真治社長だった。

 全日本ブラシ工業協同組合(同府東大阪市)によると、八尾市は歯ブラシ生産のシェアが約4割と全国一を誇る。中でも歯科医師らの意見を聞きながら、歯磨きに効果的で使いやすい歯ブラシを作る同社の企画力と開発力が、小谷さんには魅力に映ったという。

 乾社長も「とにかく形にしてみよう」と開発に着手。しかし、毛先や持ち手の長さ、角度などの選定が困難を極め、商品化までに3年かかった。

 試行錯誤の連続

 企画営業担当の幅下忍さん(46)によると、人と犬では歯が並ぶ「歯列」が大きく異なっている。洋ナシの底のように広がっている犬の奥歯の並びに合わせ、奥まで届いて、しっかりと歯周ポケットをきれいにできる上、犬が痛がらないぐらいに柔らかい毛先の開発に苦労した。

 試作品を作っては小谷さんに試してもらい、毛先の長さや柔らかさなど研究を重ねた。何十本も試作品を作るなど、試行錯誤を繰り返した末、「なんとか納得してもらえるところまでこぎつけた」と幅下さんは振り返る。

 完成した歯ブラシはチワワなどの小型犬や柴犬などの中型犬向けで、歯周ポケットに届くよう毛先の長さを2段にしたタイプと、奥歯を磨きやすくするため、コンパクトヘッドで毛先が丸く、持ち手が短いタイプの2種類。人用の毛先を改良し、犬用にした歯間ブラシもラインアップに加えた。

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