ヘルスケア

エイズは治療すれば人にうつらない病気に 新常識で若者啓発 (1/2ページ)

 治療しなければ死に至ることもあるエイズの最新治療法など“新常識”を若者に伝える啓発イベント「エイズ啓発大阪ジャズフェスティバル」が10日、大阪市中央区のクールジャパンパーク大阪で開かれる。今も多くの若者が新たに感染しており、不特定の相手との性行為や注射針の使い回しによる感染が多い。主催者は「正しい知識を身につけ、予防と早期の受診をしてほしい」と呼びかけている。(木ノ下めぐみ)

 平均寿命、非感染者と変わらず

 「学校などで性に関する知識を学ぶ機会がないため、十分な知識がないままに性行為に及び、感染してしまう」

 そう警鐘を鳴らすのは、国立病院機構大阪医療センターの白阪琢磨・エイズ先端医療研究部長。厚生労働省の統計によると、平成30年に国内で新たに報告されたエイズウイルス(HIV)感染者とエイズ患者数は1317人。大阪は東京に次いで多く、157人だった。

 かつて「死に至る病」とのイメージが強かったエイズだが、治療薬が次々に開発され、感染しても早期に治療を受ければ発症を食い止められる。仕事や趣味、家庭生活など非感染者とほぼ変わらない生き方が可能で、平均寿命も非感染者とほぼ同じに。しかし、正しい知識がないままに受診が遅れ、発症してしまったり、気づかずに他人にうつしてしまったりするケースも多いという。

 イベントは、そんな若者に正しい知識を身につけてもらおうと、昨年12月に初開催。2回目の今年は中学生からプロまで幅広い奏者によるジャズ演奏と、白阪さんらとプロドラム奏者、上場正俊さん(60)によるエイズ啓発トークを行う。白阪さんは「昨年も行ったが、1回では不十分。今後も続けていきたい」と力を込める。

 上場さんはエイズ啓発の趣旨に賛同し、イベントを共同企画した。エイズが流行し、感染後死亡する人が多かった1980年代に米国で過ごした上場さんは「感染するのではないかと、握手すらためらわれた。本当に恐ろしかった」と当時を振り返り、「エイズはもう尻すぼみになっていると誤解していたが、大阪では3日間に2人の割合で誰かが感染している。若者を守りたい」と話している。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus