クルマ三昧

超高齢社会を意識した新型ヤリスの良心 「回転シート」で乗り降りの負担軽減 (2/2ページ)

木下隆之
木下隆之

 ネーミングに抵抗感

 つまり、運転という移動手段を失う。すると外出が減り、足腰が弱くなる。自宅で塞ぎ込むことが増える。要介護リスクが増す…というわけである。

 だというのに、福祉車両の普及率は低い。足腰の不自由な障害者で1割。足腰の不自由な高齢者では0.1割だというのだ。日本の社会は要介護リスクが高いのである。

 それが型式認定を取得した意義である。福祉車両というネームミングが、ユーザーの抵抗感を生む。それを取り除くことで普及をうながしたいというわけだ。

 ちなみに、足腰が不自由なユーザーだけではなく、たとえばスカートを履いた女性にも、乗降のしやすさがメリットになると思う。もっといえば、着物でのドライブでも、ありがたい装備である。

 「たとえばレクサスLCといったスポーツカーなどではいかがでしょう」-。そう提案したら、予期せぬ提案に困惑した表情になったが、僕の発想はあながち間違っていないのだろうと確信した。

 着座点の低いスポーツカーでこそ、スマートにのりたいものだ。機構的に成立するかはともかく、「あり」だとは思った次第である。「ターンチルトシート」はヤリスの「良心」である。

木下隆之(きのした・たかゆき)
木下隆之(きのした・たかゆき) レーシングドライバー/自動車評論家
ブランドアドバイザー/ドライビングディレクター
東京都出身。明治学院大学卒業。出版社編集部勤務を経て独立。国内外のトップカテゴリーで優勝多数。スーパー耐久最多勝記録保持。ニュルブルクリンク24時間(ドイツ)日本人最高位、最多出場記録更新中。雑誌/Webで連載コラム多数。CM等のドライビングディレクター、イベントを企画するなどクリエイティブ業務多数。クルマ好きの青春を綴った「ジェイズな奴ら」(ネコ・バプリッシング)、経済書「豊田章男の人間力」(学研パブリッシング)等を上梓。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。日本自動車ジャーナリスト協会会員。

【クルマ三昧】はレーシングドライバーで自動車評論家の木下隆之さんが、最新のクルマ情報からモータースポーツまでクルマと社会を幅広く考察し、紹介する連載コラムです。更新は原則隔週金曜日。アーカイブはこちら。木下さんがSankeiBizで好評連載中のコラム【試乗スケッチ】こちらからどうぞ。

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