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なぜ911じゃない? ポルシェが初のフルEVにあえてセダンを選んだ理由を聞いた (1/2ページ)

SankeiBiz編集部

 ドイツの自動車メーカー、ポルシェが9月に世界初披露した同社初のフル電動車「タイカン」は、最高速度260km/h、0-100 km/h加速は2.8秒という驚愕のタイムを誇る4ドアEVだ。しかしなぜ、初のピュアEVとしてポルシェブランドを象徴するスポーツカー「911」ではなく、セダンを選んだのだろうか。そして実際に走ってみた感想とは-。ポルシェジャパンのプロダクトマネージャー、アレキサンダー・クワース氏に尋ねてみた。(文・大竹信生/SankeiBiz編集部)

 4ドアEVでも「スポーツカー」

 今年9月にベールを脱いだポルシェ初のフルEVタイカン。11月には都内で行われたジャパンプレミアで日本のメディアにもお披露目された。姿を現した真っ赤なボディは全長4963×全幅1966×全高1381mmといったサイズ感だ。日本市場には3グレードを用意しており、デリバリーは来年秋を予定している。この時のプレゼンで壇上に立ったクワース氏は、タイカンの大きな特徴として「伝統と未来の融合」をアピールした。

 まずデザイン面では、平らで極めて低いボンネットを設置し、前輪を覆うフェンダーとの高低差を生むことで、ポルシェの伝統的なフォルムを想起させている。これは内燃エンジンを不要とし、電気駆動システムをコンパクトに設計できるEVの利点を最大限に生かしたものだ。内装は細部までデジタル化されているが、デザインは初代911をモチーフにしているという。

 走行性能は冒頭のパフォーマンスに加え、最上級グレードの「ターボS」で最大761PS、1050Nmを生み出す。しかもバッテリーには、一般的なEVが採用する400Vに代わり800Vの電圧システムを採用。これにより充電時間の短縮、車体の軽量化、そして463kmという航続距離を実現している(※4Sグレード)。

 高性能の電気駆動システムを開発したことで「0-200 km/h加速を26回連続でフル加速してもパフォーマンス(加速性能)は落ちません。バッテリーパックを車体下に搭載しているので重心は911よりも低く、全面的に敷き詰めているのでウエイトバランスも理想的なのです」とパフォーマンスの高さに自信を見せる。

 「タイカンはEVでありながらスポーツカーです。我々の未来を形にすると同時に、伝統と“魂”も取り入れることで『本物のポルシェである』と断言できます」

 プレミア終了後、さらに話を聞くためクワース氏にインタビューをお願いすると、答えづらい質問にも丁寧に回答してくれた。

 --初のフルEVとして911ではなく、4ドアセダンを選んだ理由は

「素晴らしい質問ですね。その質問に答える前にまず強調したいのは、我々は(よくありがちな)SUVを選ばなかったことです。言い方はよくないかもしれませんが、各社がSUVを作る理由は簡単です。車体が高いので、バッテリーパックを搭載しやすいのです。それらと比べてタイカンは、911やパナメーラのような車体の低さを実現しています。ポルシェはスポーツセダンを選んだのです」

 「そこで、なぜ911を先にフル電動にしなかったのか。それは現在のバッテリーのエネルギー密度がそれほど高くないからです。タイカンはフロントアクスル(前輪軸)からリヤアクスル(後輪軸)まで全体にバッテリーを敷き詰めていますが、911はその長さを半分にしないといけません。そうすればバッテリーパックが小さくなり、航続距離が短くなります。もっとバッテリー技術が高くなったときに、911も電動化が可能になるでしょう」

 --現段階でポルシェが求めるクオリティーを達成できるのは、面積に余裕のあるセダンだった、ということですか

 「そうです」

 --部分的に電動化しているパナメーラPHVとボディタイプは似ていますが、タイカンとどの辺が違うのですか

 「ボディタイプは一緒ですが、パナメーラより全長は短いです。パナメーラはベンツSクラスやBMW7シリーズと同じセグメントですが、タイカンは下のセグメントです。このサイズなら更にスポーティーな印象を実現できます。パナメーラよりも911に近く、ポルシェの伝統的なデザインが実現できるので、このサイズにしました。パナメーラPHVはエンジンとトランスミッションの間に電気モーターがあるので、前輪軸の周りにかなりスペースが必要になります。タイカンはそのスペースが必要ないので、オーバーハングを短くすることができるのです」

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