クルマ三昧

僕は未だに緊張するけど… 日産テストコースの意外な“変貌ぶり”に驚き (2/2ページ)

木下隆之
木下隆之

 僕は係官に背を向け、バックから携帯電話やカメラを抜き取り、ロッカーに収納しようとしていた。その時、ふと人の目線を意識した。背後を振り返った。すると、警備の担当者は視線を上に向けていた。天井には斜めの鏡が貼りつけてあり、背を向けて携帯をロッカーに預けようとしている手元が映っていたのだ。ちょっと言葉が悪いかも知れないが、まるで刑務所の刑務官が受刑者の持ち物を監視するようにしていたのである。それほど技術センターは、極秘情報がけっして漏れることが許されない組織なのである。

 まるで迷路のように複雑

 何度か、デザインセンターを訪問したことがある。そこでもセキュリティーは厳重で、写真撮影は禁止されていた。そればかりか、デザインセンター内部は迷路のように複雑に入り組んでおり、ひとりでは中枢部に行くこともできないばかりか、勝手に退出することもできない。難攻不落な城のように、複雑にデザインされているのである。

 というように、自動車メーカーの開発組織は厳重なセキュリティーに守られているというのに、日産グランドライブはいたってオープンなのである。

 じつはかつて僕が日産契約ドライバーだった時代、追浜のテストコースで開発中のレーシングカーのテストに明け暮れたことがある。スポーツ車両開発部と呼ばれる組織が追浜にあり、そこで開発されたマシンを、その脇にある追浜テストコースで走り込んでいたのである。

 その跡地が、今は「日産グランドライブ」になった。今でも僕は、この地に足を踏みいれるとどこか緊張するのだ。

木下隆之(きのした・たかゆき)
木下隆之(きのした・たかゆき) レーシングドライバー/自動車評論家
ブランドアドバイザー/ドライビングディレクター
東京都出身。明治学院大学卒業。出版社編集部勤務を経て独立。国内外のトップカテゴリーで優勝多数。スーパー耐久最多勝記録保持。ニュルブルクリンク24時間(ドイツ)日本人最高位、最多出場記録更新中。雑誌/Webで連載コラム多数。CM等のドライビングディレクター、イベントを企画するなどクリエイティブ業務多数。クルマ好きの青春を綴った「ジェイズな奴ら」(ネコ・バプリッシング)、経済書「豊田章男の人間力」(学研パブリッシング)等を上梓。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。日本自動車ジャーナリスト協会会員。

【クルマ三昧】はレーシングドライバーで自動車評論家の木下隆之さんが、最新のクルマ情報からモータースポーツまでクルマと社会を幅広く考察し、紹介する連載コラムです。更新は原則隔週金曜日。アーカイブはこちら。木下さんがSankeiBizで好評連載中のコラム【試乗スケッチ】こちらからどうぞ。

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