以来、1カ所で1~2週間ほど過ごし、次の場所へという生活。昨年11月は秋田、岩手などの東北、石川、福井、12月は東京、神奈川、そして海外へ…。宿泊費は平均月10万円ほどという。
一昨年の夏、会社を辞め、職も「変動化」させた。
「結局、オンラインでどこででも仕事できる」。フリーで企業のマーケティング支援などを続けている。
生まれたつながり
「予定に『余白』があるほうが、土地の人、偶然訪れた人と『一緒に面白いことしよう』となったとき、ちゃんと形にしていける」という。宿は一日目だけを決め、あとは流れのまま。
アドレスホッパー歴、丸2年。住まいと仕事を「変動化」し、人生に「余白」を作ったことで、かえって「仕事の活動領域がめちゃめちゃ広がった」。
その時々に出会った人と「いいね!」と盛り上がったら、イベントや商品をプロデュース。米国の旅で知人に紹介されたベストセラー本「サードドア」の著者、アレックス・バナヤン氏の来日イベントを開いたり、岐阜県郡上(ぐじょう)市では地域活動家と意気投合して、日本三大盆踊り「郡上おどり」に欠かせない「うちわ、手ぬぐい、踊り下駄(げた)」の3点セットをプロデュースする予定だ。
アドレスホッパーを始めたころ、兵庫県で公務員だった父に「家賃が払えないのか」と心配されたこともあったが、むしろ「(収入の)実入りはよくなった」。ただ、金銭的なことより、「一番の財産は世界や日本全国の人とのつながりが生まれたこと」だと話す。