ヘルスケア

医師は受けないバリウム検査が存続する理由 がん発見率は胃カメラの1000分の1 (2/3ページ)

 今の胃カメラは苦しくない上に機能も充実している

 時々、「昔受けた胃カメラの検査が苦しかったのでバリウム検査を受けたい」という方がいらっしゃいますが、最新の機材では内視鏡の直径は数ミリまで小型化されています。たしかに数十年前、登場したばかりの胃カメラは直径が数センチあり、検査は苦しいものでしたが、今では非常に小型化され苦しさはかなり緩和されています。

 また、画像の鮮明度も大幅に向上しており、さまざまな撮影モードやズーム機能なども実装されるなど目覚ましい進化を遂げています。

 一方、バリウム検査はこの数十年大きく進歩したといえることはなく、バリウム剤が少し飲みやすくなった程度のマイナーチェンジしかしていません。炭酸が苦手な人にとってはそれでも飲みづらいと思います。

 胃カメラに比べ、バリウムが優れているといえる点はないといっても過言ではないでしょう。

 胃カメラであればバリウムよりもはるかに正確に、早期のがんを発見することができます。バリウムより胃カメラの方が、胃がんの発見率は1000倍も高いというデータがあるほどです。

 医学の進歩により、もはやがんは不治の病ではなくなりました。早期に発見して手を打つことで、がんは治療することができます。かつてはがんと診断されてから5年経っても生きているかという「5年生存率」というものが一つの指針として使われていましたが、今では生存率が劇的に向上し、「10年生存率」という指標もできています。

 ピロリ菌を除菌すれば胃がんはほぼなくなる

 そもそも胃がんは、ほとんど予防することができる病気です。胃がんの原因の多くが、ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)による慢性胃炎です。ピロリ菌を保菌していると、胃の粘膜が常態的に炎症を起こし、そこに胃がんが発生するのです。ピロリ菌以外の要素が原因となる胃がんは全胃がんのなかの数パーセントあるかないか、といわれています。

 そのため、ピロリ菌を除菌することで、胃がんはほとんどなくなるものと考えられます。

 ピロリ菌は幼少期に感染し、大人になっても自然に除菌されることはありません。胃がん予防のためにはできるだけ早くピロリ菌を保菌しているかを調べ、除菌しておくことが肝心だといえるでしょう。

 ピロリ菌の感染経路はいまだ解明されておりませんが、保菌しているかどうかの検査や除菌は簡単に行うことができます。

 まず、ピロリ菌検査については、かつては胃カメラで胃の粘膜や組織の一部を採取してそこに菌がいるか確認するのが一般的でしたが、近年ではより簡単な検査も普及しています。被験者がピロリ菌に反応する検査薬を服用し、呼気を調べるだけでピロリ菌の有無を調べることができる検査もあります。

 除菌自体はより簡単で、1週間程度抗生物質を服用するだけです。90%近い方はそれで除菌が完了し、まだ菌が残っていた場合には、再度薬を服用します。

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