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「乗車料金の交渉に学校が役立った」 イタリアの教育が培うサバイバル術 (2/3ページ)

安西洋之
安西洋之

 息子と車掌の5分くらいの話し合いの結果、後ろに座っていたぼくの分も含め3人で合計30ユーロ(およそ3600円)のところを1人の10ユーロ(およそ1200円)にしてくれた。即ち車掌は2人の乗客は乗っていなかったことにしたのだ。

 ぼくの席に車掌が来たときは「前の席で清算は済んだ」と言われたので、交渉の経緯はファエンツァ駅で電車を降りてはじめて知った。そこで息子が言った感想は「学校の勉強って役立つのだね!」である。

 「えっ!乗車料金の交渉に学校の勉強が役立った?」と聞くと、「そう、口頭試問で先生は、オリジナルな論理を組み立てると良い点数をくれるんだ」との答え。

 イタリアは小学校の時から通信簿の成績は、口頭試問と筆記試験の結果が半々である。いや、すべての学校が半々かどうかは知らないが、小学校の時から口頭試問があり、その成績が悪ければ筆記試験が良くても通信簿は「それなり」であるのは共通だ。

 そして口頭試問においては筆記試験のような「正解」ではなく、先生が納得する答えをするのが正しい。先生の質問に答えながら、先生の表情をみて、どこで先生が腹落ちするかを生徒が判断するのである。これを小学生の低学年からやっている。

 こうした教育が今回の一件で功を奏したというのだ。

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