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エビイモ、多彩に売り出し コロッケや仏料理…新たな調理法を探る

 各地で栽培され、京料理の食材として珍重されている「エビイモ」。産地の一つ、大阪府富田林市では生産者らがエビイモのコロッケを販売するなど、新たな調理法を探っている。魅力に着目して西洋料理に取り入れる府内のレストランもあり、生産者は「エビイモの多様性をもっと知ってほしい」と期待を寄せる。(藤崎真生)

 富田林市や生産者らで作る有志は平成29年11月、エビイモを使った「富田林コロッケ」の販売を開始した。エビイモの種イモにあたる「親イモ」や、小さいなどの理由からこれまで流通が少なかった部分を使った。

 人気は上々で、昨年10月末までに7万個以上を売り上げたほか、平成30年12月に発売したチーズ入りも約9千個に達した。

 昨年12月には「トマトチーズ」「ベーコンチーズ」「カレー」の3種類が登場。この中で最も早く販売が千個に達したものを「第3の味」としてPRしていく方針だ。

 「富田林コロッケ」の販売店舗がある場所は、国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されている「富田林寺内町(じないまち)」。市によると「江戸時代の雰囲気が残る町並みを楽しみながら食べ歩くスタイルが定着している」という。

 一方、西洋料理の世界でも注目が集まる。

 大阪府枚方市の「ワインショップ&レストラン フジマル食堂枚方T-SITE店」では数年前からエビイモ料理を扱っており、今季は「海老芋(えびいも)のコンフィのロースト 卵黄とチーズのソース」を提供している。

 生ハムと野菜で取った出汁(だし)に、チーズや卵黄などを加えたソースで、パスタのカルボナーラにも似た味わいを実現した。考案者でスタッフの丹田(たんだ)健太さん(30)は「大阪には、これだけおいしい食材があることを知ってほしい」と語る。

 大阪市中央区のフランス料理店「ORIGIN(オリジン)」もシーズンには「海老芋のロースト」をコース料理に加えるなど、エビイモを使ったメニューの開発を進めている。

 代表で料理長の吉田徹(てつ)さん(38)は「フランスではリヨンなら豚肉、ニースなら魚など『その土地独自の食材を楽しもう』という文化がある。それを日本でも実現したかった。『大阪に来ればエビイモを』という機運を作りたい」と語った。

 エビイモづくりを手がける富田林市の「乾農園」副代表、乾裕佳さん(44)は「『エビイモは煮物』という印象を持つ人も多いですが、多彩な料理を通じておいしさだけでなく、洋の東西を問わず使える『多様性』があることを知ってほしい」と語った。

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