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秩序の優先度は「東京>ロンドン>ミラノ」 横断歩道は文化差異を再考させる (2/3ページ)

安西洋之
安西洋之

 東京、ロンドン、ミラノの3つの都市を比べると、この順で秩序が優先され、赤信号で歩道を渡ろうとする「けしからぬ」人は生きづらいのでは、と思ったのである。

 何も信号無視を礼賛しているのではない。秩序への尊重度をうまく抑えておかないと、自分の命を守りにくいのである。また精神的バランスもとりにくい。

 ミラノで秩序の重視を貫いていれば、本人の自己満足度は高いかもしれないがストレスフルである。が、そうだからといって、ストレスを避ける行動が身についていると、秩序を重視する他の社会で衝突が生じやすくなる。

 大げさな表現をあえてとれば「異文化の衝突」である。もちろん、ことはすべての面で適用される。

 日本からイタリアの小学校を視察に来た人が語った感想が頭によみがえってくることがたまにある。

 「イタリアの子供たちは自由そうでいいですね。しかし、学校は子供たちが社会に出たときに秩序を乱さないような教育をするのが大切という点からすると、これはどうなんでしょう?」と彼は呟いたのである。

 小学校の教育の目的として、秩序を守ることを筆頭に挙げること自体を再考するには至らないのだな、とぼくは思った。

 そんなことを冒頭で紹介したイタリア人の友人と酒を飲みながら話していると、「イタリアは個人を優先し過ぎかもしれない」と彼は言った。

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