ヘルスケア

新型肺炎、エボラ、ペスト、HIV…人類襲うウイルス、野生動物の線から考える (3/3ページ)

 1980年代、猛威を振るい、当時、感染者に差別や偏見の目が向けられたHIV(ヒト免疫不全ウイルス)もそうです。米疾病予防管理センター(CDC)によると、中央アフリカのカメルーンに生息する野生のチンパンジーが起源で、20世紀の初頭、人に感染したと考えられています。

 81年に米で初めて感染者が見つかって以降、HIVによるエイズ(全身性炎症性疾患)発症により、昨年までに全世界で約3200万人が命を落としました。2018年末時点で感染者は全世界で3790万人(うち2060万人はアフリカの東部と南部在住)で、うち77万人が亡くなりました。

 さらに歴史をさかのぼると、ペスト(黒死病)もそうです。1334年から1340年代後半、中国から欧州に広まり、欧州の人口の45%~50%がこの病気で亡くなりました。人類史上、最も恐ろしい病気のひとつに挙げられますが、こちらも感染源はネズミといった小型の哺乳類。ここからノミを介して人に感染しました。

 また、狂犬病も、全体の約99%は犬を介してウイルスが広まりますが、何と米国では人が狂犬病で亡くなる原因の大半はコウモリだといいます。ちなみに狂犬病で亡くなる人の95%はアフリカとアジアに住んでいます。

 1997年~1999年にマレーシアで原因不明の脳炎を引き起こしたニパウイルス感染症もブタやオオコウモリが媒介するとされ、オオコウモリはニパウイルスの自然宿主です。2018年5月、マレーシアやバングラデシュ、インドなどで計約700人が感染。うち50%~75%が亡くなりました。

 2012年5月25日付の英紙インディペンデント(電子版)は、カメルーンの熱帯雨林でゴリラやチンパンジーを食用のため不法に虐殺し、お金を稼ぐ密猟者の非道ぶりについて報じています。

 それによると、彼らの暴挙について科学者たちは、HIVのような人類に致命的な打撃を与えるウイルスによる新たなパンデミック(広範囲に及ぶ流行病)を引き起こす可能性があると警告。

 こうした人に深刻な悪影響を及ぼすウイルスの4分の3は動物由来であることが知られており、一部の科学者は、人が類人猿の運ぶウイルスに特に感染しやすいと考えていると説明しています。野生動物が人間に与える様々な影響をいま一度、考えてみる時なのかも知れません。

 【プロフィル】岡田敏一(おかだ・としかず) 1988年入社。社会部、経済部、京都総局、ロサンゼルス支局長、東京文化部、編集企画室SANKEI EXPRESS(サンケイエクスプレス)担当を経て大阪文化部編集委員。ロック音楽とハリウッド映画の専門家、産経ニュース( https://www.sankei.com/ )で【芸能考察】【エンタメよもやま話】など連載中。京都市在住。

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