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リーフやノート、GT-RやZのNISMOで豪快に雪上試乗 意外なあのクルマの姿も… (2/3ページ)

SankeiBiz編集部

 雪上での横滑りは大丈夫か?

 突然の降雪や高速走行中のゲリラ豪雨など、悪天候の中のドライブでは横滑り防止装置が心強い味方となる。中には「そんなのオレには必要ねぇ」という練達のドライバーもいるかもしれないが、逆に運転を得意としない人もいるのだ。筆者もゲリラ豪雨で怖い思いをしたことがある。頼れる電子デバイスがあるのなら、使わない手はない。ちなみに横滑り防止装置はメーカーごとに名称が異なる。日産はVDC(ビークル・ダイナミクス・コントロール)と呼んでおり、筆者がこの日試乗したすべての車種に搭載されていた。

 VDCはクルマが横滑りしそうな状態になるとセンサーが感知してアクチュエーターに信号を送り、個々の車輪にかかるブレーキ圧やモーター出力を制御するデバイスだ。駆動輪が空転したときにモーター出力を抑えて駆動力やハンドル操作性を向上させる「トラクションコントロール機能(TCS)」や、空転している駆動輪にブレーキをかけてもう一輪の駆動力を確保する「ブレーキLSD」、急ブレーキ時に車輪のロック(回転が完全に停止した状態)によるスリップを低減する「ABS」はすべて、VDCのシステムに組み込まれている。

 VDCは具体的にどのように車両の安定性を高めるのか。例えば左右の駆動輪のうち右車輪だけ回転を止めると、クルマは右に旋回する。VDCはその原理を利用して、個々の車輪のブレーキを超高速で「摘まんだり離したり」を繰り返しながらクルマの姿勢をコントロールしているのだ。同時に、TCSでスロットルの制御を行うことでスピードも抑えている。実際にVDCをオンにしてドリフトを試みても必要以上に速度が上がらないのは、TCSがモーター出力を抑制しているからだ。

 VDCは各社のチューニングのノウハウが生かされる技術であり、メーカーごとの “個性”が表れやすいという。かつてGT-RやフェアレディZの開発を手掛け、新型デイズの実験も担当した永井曉氏は「実は少しロックするぐらいが一番効く。ロックの“限界ギリギリ”をいかに試すか、そこの微妙な調整に各メーカーの味付けが出てくる」と話す。「VDCの介入が多いと安定はするけれど前に進まない。うちはそこのバランスを良くしたかったので『しっかりと走り、安定もしている』というチューニングにかなり気を使った」。また、別のエンジニアは日産のVDC技術の高さを熱く語りつつ、「(ベンツ・BMW・アウディの)ドイツ3社は横滑り防止装置における開発の歴史が長く、雪道が多いという環境もあってシステムの作り込みが上手い」と技術力の高さを称えていた。

 VDCは手元のスイッチで簡単に解除することもできる。実際に解除して走ると、特にハンドルを連続して左右に切るスラロームではあっさりと挙動が乱れる。4WD仕様の新型デイズでは張り切りすぎてしまい派手にスピン。あやうく雪の壁をヒットしそうになり、永井氏から「けっこう攻めますね」と“言葉のブレーキ”を掛けられてしまった。その後、私のお行儀が少しだけよくなったのは言うまでもない。そもそも、VDCの解除スイッチは何のためにあるのか。答えは、ぬかるみや深雪にスタックしたときに、一時的にVDCの作動を停止して駆動力を確保することで脱出を補助する緊急用モードなのだ。

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