試乗スケッチ

ベンツ「GLE」に3列シートを設定した狙い、そして実際の乗り心地は… (2/2ページ)

木下隆之
木下隆之

 特にGLEのようなビッグサイズSUVは、米国ウケがいい。メルセデスにはGLEよりもさらにビッグサイズのGLSが存在する。もちろんそれも同様に3列シートだが、GLSよりややコンパクトな(と言っても日本で乗るには大型に違いない)3列シートのSUVが必要だったのである。そのために、3列シートにするには短かった先代モデルより全長を100mmも伸ばした。そのうちの80mmがホイールベースの延長だ。それが3列シートを成立させるためであることは想像の通りである。

 補助的シートではない?

 3列シートによる乗員の不満を抑えるために、様々なアイデアを投入している。ホイールベースを延長しただけにとどまらず、Aピラーを直立方向に起こし、1列目の乗りやすさを求めた。その分、1列目を前にスライドすることが可能になり、2列目にも余裕が生まれる。さらに、2列目には世界初という6ウェイのフルパワーシートを標準装備にした。これにより、2列目のレッグスペースは、先代よりも69mmも広くなった。2列目シートは電動で100mmもスライドするから、3列目も広いのである。

 3列目はとかく、エマージェンシー用シートとされることが少なくなかった。日頃は3列目シートを折り畳み、荷室を広くするための3列目仕様と考えるユーザーも多い。だが、これなら日常に3列シートも活用できる。大人が乗っても、耐えられる広さである。駅までの送り迎えや、子供達の送迎には問題ない。

 ともあれ、走り味は武骨である。都会的な乗り心地ではなく、オフロード性能が重視されている。クロスカントリー的な性能が高い。だから3列目に座っての長距離移動は、ちょっと辛いだろう。

木下隆之(きのした・たかゆき)
木下隆之(きのした・たかゆき) レーシングドライバー/自動車評論家
ブランドアドバイザー/ドライビングディレクター
東京都出身。明治学院大学卒業。出版社編集部勤務を経て独立。国内外のトップカテゴリーで優勝多数。スーパー耐久最多勝記録保持。ニュルブルクリンク24時間(ドイツ)日本人最高位、最多出場記録更新中。雑誌/Webで連載コラム多数。CM等のドライビングディレクター、イベントを企画するなどクリエイティブ業務多数。クルマ好きの青春を綴った「ジェイズな奴ら」(ネコ・バプリッシング)、経済書「豊田章男の人間力」(学研パブリッシング)等を上梓。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。日本自動車ジャーナリスト協会会員。

【試乗スケッチ】は、レーシングドライバーで自動車評論家の木下隆之さんが、今話題の興味深いクルマを紹介する試乗コラムです。更新は原則隔週火曜日。アーカイブはこちら。木下さんがSankeiBizで好評連載中のコラム【クルマ三昧】こちらからどうぞ。

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