ニュースを疑え

「その日暮らし」の発想 アフリカ路上商人に学ぶ「微妙な負い目」とは (3/3ページ)

 不確実性をどう生かすか

 --あべこべの考えがおもしろいですね

 「ただ、それは日本とアフリカの違いではないと思うのです。日本でも貯金なんてものがなかった時代もあります。ところがいまは、あなたが金銭的に困るのはあなたが頑張って仕事をしなかったり、貯金をしなかったりさぼってきたせいである、ひとに迷惑をかけず自律的に生きる価値観がなぜか特権化しているのです」

 「以前にある方からこんな話を聞きました。『昔は大阪でバスとか乗り物に乗るときには誰も並ばなかった』って。それでも何となく誰が最初に来たかを知っていて、妊婦やおばあちゃんは後から来ても何となく先に乗せてあげていたそうです。ところが、ある日、白い線が2本引かれた。するとまわりのひとたちに対する配慮も関心は消えて、何も考えず来た者順に並ぶようになった」

 --並ばないのは大阪人のマナーの悪さのように言われたのですが、見方を変えれば違って見える

 「将来はもともと不安定なものですが、不安定や不確実を解消しようとするばかりが解決策ではないかもしれません。不確実であることをどのように生かすかを考えるのもまた一つの解決策です。日本でタンザニア商人のように生きる必要は全くありません。でも別の生き方があるんだということを知っていてもいいと思いませんか」

 【プロフィル】おがわ・さやか 立命館大先端総合学術研究科教授。昭和53年、愛知県生まれ。京都大大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程単位取得退学。国立民族学博物館助教などを経て現職。タンザニアの行商人社会を研究した「都市を生きぬくための狡知-タンザニアの零細商人マチンガの民族誌」でサントリー学芸賞受賞。他の著書に「『その日暮らし』の人類学」「チョンキンマンのボスは知っている」

 【ニュースを疑え】

 「教科書を信じない」「自分の頭で考える」。ノーベル賞受賞者はそう語ります。ではニュースから真実を見極めるにはどうすればいいか。「疑い」をキーワードに各界の論客に時事問題を独自の視点で斬ってもらい、考えるヒントを探る企画です。

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