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新型コロナ拡大でも開館する美術館の奮闘 求められる万全の感染症対策 (1/2ページ)

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、国立をはじめとする各地の美術館・博物館で、臨時休館をさらに延長させる措置が取られている。一方で、継続して展覧会を開いている館や、再開を決めた館も。感染防止へ対策を講じながら、美術鑑賞の場を提供しようと奮闘を続けている。(渋沢和彦、黒沢綾子)

 絵に癒されて

 日本画専門の山種美術館(東京・広尾)で14日、隔年開催で人気の特別展「桜 さくら SAKURA 2020-美術館でお花見!-」が始まった。桜をモチーフにした同館所蔵の日本画約50点が並ぶ。

 巨匠、奥村土牛(1889~1990年)の名作「醍醐」はあでやかで匂うようなしだれ桜。小茂田青樹(1891~1933年)の「春庭」は散り始めた桜の妖しい雰囲気を醸し出す。白く盛り上がるように桜を描いた土田麦僊(1887~1936年)の大作「大原女」も目を引く。今年は皆でわいわい花見、とはいかない状況だけに、春らんまんの美術館内が余計にまぶしく見える。

 感染防止で外出を控える人は多く、昨年同時期の「花・Flower・華」展と比較すると、1日当たりの入館者数は5割減。しかし同館があえて展覧会を開いた背景には、東日本大震災が起きた平成23年の経験があるという。自粛ムードが続く中で同年4月、花の絵の展覧会を実施したときのことだ。「『毎日暗いニュースを見聞きする中で、花の絵を鑑賞し安らぎました。美術館が開いていてよかった』。そんなお客さんからの言葉をたくさん頂戴し、絵は癒やしとなり、美術は心に潤いを与えるという思いを改めて強くした」と山崎妙子館長は回想する。

 判断基準は

 政府の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議は、症状のない人にとって美術鑑賞は「感染のリスクが低い活動」としている。とはいえリスクはゼロではなく、開館には万全の感染症対策が求められる。

 山種美術館も24時間稼働の空調システムを備え、スタッフ全員に出勤時の検温を実施するなど細心の注意を払っているという。「国内の感染状況が悪化すれば、政府の意向に沿って休館もあり得る」(同館)とするが、私立美術館の場合は基本的にそれぞれの判断による。永青文庫(東京・目白台)は来館者にマスク着用を求めた上で、「古代中国・オリエントの美術」展を開催。臨時休館していたアーティゾン美術館(東京・京橋)も、もともと混雑回避のため入館は日時指定予約制であることから、17日に展覧会を再開した。

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