AYA世代の日々 がんとともに生きる

(11)「誰かに力を与えられる」 フォトグラファー・木口マリさん (2/3ページ)

 ■子宮も卵巣も摘出

 大学病院で検査した結果、子宮頸部の一部を円(えん)錐(すい)状に切除することになりました。主治医が時間をかけて図を描きながら説明してくれたので不安はありませんでした。入院は3泊4日。「この手術で治療は終わり」と思っていました。

 でも、病理検査で、腫(しゅ)瘤(りゅう)を形成しない珍しいタイプのがんで、広範囲に広がっていることがわかりました。子宮だけでなく卵巣まで摘出することになり、自分が女じゃなくなるように感じました。ストレスで食事も取れなくなりました。パンがあっても、消しゴムと同じような物体に見えて、食べ物だと思えないんです。

 「怖い」ということすら口にできない状態から、立ち直るきっかけをくれたのが6歳上の姉です。病気について聞くことなく、ただそばにいてくれた。姉と出かけたときに思い切って、「手術が怖い」と打ち明けると、「そうだよね」と受け止めてくれた。「がんばらなくちゃだめ」と突き放されていたら、孤独になっていたかもしれません。

 ■1年で4回手術

 がんの手術の合併症で腸(ちょう)閉(へい)塞(そく)を起こしてしまい、一時は人工肛門にもなりました。結局、1年で4回の手術を経験しましたが、治療はつらいことばかりではありませんでした。看護師さんと仲良くなれたし、治療を通じて、人との絆やぬくもりを感じられました。

 平成26年2月から、「ハッピーな療養生活のススメ」というブログを始めました。「がんは怖い」というイメージが強いですが、病気になってもハッピーになれるということを知ってもらいたかった。

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