終活の経済学

死後の手続き(3)葬儀の後・お墓の検討 (2/2ページ)

 経営母体による違い

 墓地は経営・事業母体により、大きく「公営墓地」「寺院境内墓地」「民間墓地」に分けられる。公営の経営主体は地方自治体。申し込み資格や募集時期が限られるなど制約はあるが、宗教・宗旨・宗派の制限がなく比較的低価格で求めやすい。寺院境内墓地は、寺院の檀家(だんか)になることを前提として購入することになり、檀家として寺院を支えていく義務が生じるが、日常的に供養の空間が完成されているという安心感がある。

 民間墓地は開発や販売に民間業者が関わっている霊園のこと。経営主体は宗教法人が多い(公益法人もある)が、宗教・宗旨・宗派不問として販売しているところが多くなる。

 また、墓石は墓地によって決められている規約に沿って区画内に建てる。墓地によっては石材店が指定される場合もあり、これも墓地を決める判断材料になる。

 永代なら承継者不要

 承継者がいないなどの理由から、「永代供養(管理)墓」に注目が集まっている。永代供養とは、永い代(年月)にわたって供養(管理)することを指し、寺院や墓地管理者が永代にわたって供養(管理)してくれる。最初から共同納骨する「合葬タイプ」と一定期間は個別に管理する「個別タイプ」がある。

 近年、特に都市部で増えているのが、屋内墓所の納骨堂。ロッカー式や仏壇式、機械式など納骨システムもさまざま。また墓石の代わりに樹木を墓標とする樹木葬墓地も人気だ。

 また、死後は自然に還りたいというニーズから海洋散骨も葬送の一つとして広く認知されるようになった。しかし、最近は自然に還りたいというよりも、「墓石は不要」「遺骨の管理が面倒」という理由で選ぶ人も少なくない。散骨はあくまで、葬送を目的として行うなら違法とはいえない、という見解(非公式)のもと行われているものであって、遺骨を破棄する場ではないことを念頭に入れておくべきだろう。

 「改葬」の手続き

 故人の死は、いまある墓を考える機会にもなる。例えば、遠方の故郷の墓に納骨されている先祖の遺骨を取り出して、新しく建てる墓に移動して一緒に納める、といったことだ。一連の流れを「改葬」という。

 改葬は、墓地使用権者の意思で行えるが、親戚の理解を得ておくことが大切だ。寺院にお墓がある場合は、檀家としての付き合いがなくなることも考えられる。早い段階で改葬の相談をしておき、檀家を辞める場合は、別称「離檀料」といわれるお布施を包む。

 改葬は、新しい納骨先が決まらないと手続きができない。家族や親戚が納得できる新しい納骨先が決まるまでには、相当の年月を要するという覚悟も必要になる。(『終活読本ソナエ』2020年新春号から随時掲載)

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