試乗スケッチ

ホンダ浮沈のカギ握る新型フィット 保守的思想の中に革新性 (1/2ページ)

木下隆之
木下隆之

 ホンダ車で最多のユーザー数

 極めて保守的な佇まいに、チャレンジングな革新を感じさせる。そんな不思議な感覚に陥った。新型フィットのことである。

 フィットはホンダの屋台骨を支える意欲作である。これまで累計269万台を販売し、今でも保有しているユーザーは180万人もいる。ホンダ車の中ではトップの数字だ。ホンダの大黒柱なのである。

 一方でホンダは、4つのセグメントを重視する。ヴェゼルに代表されるSUV、Nシリーズ系の軽自動車市場、ミニバン市場はステップワゴンやフリードが担う。そしてコンパクトハッチはこのフィットが牽引するのである。そのコンパクトハッチの市場規模は、全体の4分の1に達する。つまり、フィットの浮沈はホンダそのものの経営に強く影響するのである。

 このように、ホンダの期待と責任がずっしりとのしかかるフィットなのに、意外なことに攻撃的な施策が見え隠れするのだ。守りと攻めのバランスでいえば、やや攻め側である。兵士が最前線で身構え、隙あらば刀を振りかざして切り込んでいくような、そんな覚悟のような力強さを感じるのだ。

 基本コンセプトには変化はない。「マンマキシマム、メカミニマム理論」に乱れはない。メカニズムは可能な限り小さく、それで得た空間は乗員の快適性にあてる。その思想には変化はない。

 だが、これまでのように、ホンダがコンパクトハッチらしさと思い込んでいた子供っぽさとの決別が感じられる。掲げたキーワードは「心地よさ」である。乗り心地の良さや、触り心地の良さに拘っている。実際に走らせると、乗り心地はこれまでのフィットの数十倍も優れている。キビキビ感をことさら求めていた先代モデルとはまったく別なのである。

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