視界の広さにつくづく感心
パワーユニットは2種類。1.5リッター2モーターハイブリッドと1.3リッターガソリンのラインナップだ。特徴的なのはハイブリッドである。インサイト等に搭載されていたユニットをコンパクトハッチに押し込んだ。シリーズ式とパラレル式を合体させたことが特徴で、つまり、エンジンを発電機として活用し、蓄えた電気で駆動させるシーンと、エンジンとモーターを併用して走るシーンが複雑に入れ替わる。大雑把に言うならば、トヨタ・プリウスと日産e-POWERの“いいとこ取り”なのである。
市街地走行ではほとんどモーター駆動である。それでいて高速道路や山坂道などで強いトルクが必要になればエンジンが加勢する。経済性と運動性能を両立している。それがホンダ流ハイブリッドの個性になった。
乗員への配慮も行き届いている。シートの座り心地の良さは格段に向上した。視界の広さも桁外れである。Aピラーは従来比で半分の太さに絞られたという。Aピラーの先には大きな三角窓もある。限られたサイズのなかで、よくぞここまで広々とした視界を確保したものだとつくづく感心するのである。
スタイルもご覧のとおりである。ホンダの個性とされていた、ガンダム的なゴテゴテした筆遊びが抑えられている。エクステリアも、そしてさらにインテリアなどはもっと個性的であるのに、ゴデゴデ・ギドギドした印象がないのだ。
そう、冒頭で紹介した感想は、ホンダの思想を守りつつ、大胆に変化したことを表現したつもりだ。まったく新しいのに安心感がある。保守的のようで革新性が同居する。ホンダの浮沈を背負うフィットは凄い。
【試乗スケッチ】は、レーシングドライバーで自動車評論家の木下隆之さんが、今話題の興味深いクルマを紹介する試乗コラムです。更新は原則隔週火曜日。アーカイブはこちら。木下さんがSankeiBizで好評連載中のコラム【クルマ三昧】はこちらからどうぞ。