終活の経済学

死後の手続き(5)年金 大黒柱失った時の「頼みの綱」 (2/2ページ)

 マイナンバーを活用

 親や高齢の配偶者など、年金受給者が亡くなった場合、厚生年金は10日以内、国民年金は14日以内に「受給停止」の手続きをする。遺族や代理人が故人の年金手帳、死亡届の写しや死亡を示す戸籍謄本を持参し、年金事務所や街角の年金相談センターに行き、「年金受給者死亡届(報告書)」を提出するのが基本ルール。支給停止が遅れて「死後年金」が支給されると、返還しなければならない。

 ところが、日本年金機構(年金機構)によると、近年は状況が変わってきている。加入者・受給者のマイナンバー(個人番号)と基礎年金番号を結びつける作業が進み、「99%以上が収録されている」という。収録済みの人は受給停止の手続きが不要だ。マイナンバーカードの普及は遅れているが全国民の番号が公的に活用されているのだ。

 遺族は「年金事務所に行く必要がなくなり、便利になったな」と思いがちだが、ここで忘れてはならないのが、「未支給年金」の存在だ。未支給年金は、支給停止中の在職老齢年金の人など、ごく一部を除き、すべての受給者に生じる。これを理解するには、現役世代にはなじみの薄い年金の支給ルールをおさらいする必要がある。

 年金の支給は2カ月に一度、偶数月15日。前月と前々月の2カ月分が支給される。例えば2月15日に支給されるのは、1月分と前年の12月分。次に、年金は死亡した月分まで支払われる。このため亡くなったのが偶数月なら1カ月分、奇数月なら2カ月分が、受給停止手続きによって未支給となるのだ。

 未支給年金をもらうには、故人と「生計を一にしていた親族」などが年金事務所などへ請求書を提出する。時効は5年だ。年金機構は「死亡から1カ月半~2カ月を経ても請求がない場合、手続きの案内を郵送している」という。だが、見落としてしまったら、もらえないままだ。制度を理解し、早めに請求したい。(『終活読本ソナエ』2020年新春号から随時掲載)

 「三親等以内」まで 未支給年金の請求

 「死後の手続き」でよく出てくるのが、「故人と生計を一にしていた」という表現だ。日常感覚では「同じ屋根の下」だが、厚生労働省などによると、故人の死亡日に住民票上の住所が異なっていても、単身赴任や就学、病気療養が理由で、故人との間で経済的な援助をしたり、されたりしていた親族も指す。

 未支給年金では、故人と生計を一にしていた配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹に加え、「三親等以内の親族」まで、この順番で請求できる。三親等とは、ひ孫、甥(おい)・姪(めい)、おじ・おばと、それぞれの配偶者、そして曾祖父などだ。

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