クルマ三昧

原油価格マイナス、息を吹き返す大排気量車 「30ドル/バレル」の経験則健在 (2/2ページ)

木下隆之
木下隆之

 もっとも原油価格がマイナスになったからといってもちろん、ガソリンの小売価格がマイナスになるわけがない。クルマ生活を送る筆者には夢のような出来事だが、そうなるわけがない。小売店は廃業に追い込まれるばかりか、そもそもガソリンには様々な税金が課せられており、理論上マイナスになるわけがないのである。

 ガソリンには、ガソリン税53.8円と石油税2.8円が課せられる。軽油には軽油引取税32.1円と石油税2.8円が課せられる。灯油には石油税2.8円のみである。さらにはガソリン税と石油税には、消費税も課せられる。二重課税は不公平だとする議論が高まることはあるのだが、国税庁にとってはドル箱であり、そこにメスを入れる政治家も少ない。自動車工業会はたびたび二重課税の是正を進言するのだが、それが改善される気配はない。

 リーマンショック超え

 もっとも、原油価格が下がれば店頭のガソリン価格も多少は低くなる。アメリカでは30ドル/1バレルを境に、途端に環境車と大排気量モデルの販売構図が動くと言われてきた。30ドル/1バレルを下回れば大排気量のピックアップトラックの販売が波に乗り、上回ればハイブリッド車が息を吹き返すと言う。

 WTI原油先物最高価格は2008年7月11日に147.3ドル/1バレルだった。その直後、リーマンショックに見舞われ下落した。それでも40ドル/1バレルである。そんな未曾有の世界経済恐慌よりも、今回の新型コロナパンデミックは被害が大きい。それを原油価格が証明している。

 ただし、30ドル/1バレルを境に販売構図が偏移するとの経験則は生きているようで、アメリカの大排気量車販売はやや持ち直しの気配があると言うから不思議だ。

木下隆之(きのした・たかゆき)
木下隆之(きのした・たかゆき) レーシングドライバー/自動車評論家
ブランドアドバイザー/ドライビングディレクター
東京都出身。明治学院大学卒業。出版社編集部勤務を経て独立。国内外のトップカテゴリーで優勝多数。スーパー耐久最多勝記録保持。ニュルブルクリンク24時間(ドイツ)日本人最高位、最多出場記録更新中。雑誌/Webで連載コラム多数。CM等のドライビングディレクター、イベントを企画するなどクリエイティブ業務多数。クルマ好きの青春を綴った「ジェイズな奴ら」(ネコ・バプリッシング)、経済書「豊田章男の人間力」(学研パブリッシング)等を上梓。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。日本自動車ジャーナリスト協会会員。

【クルマ三昧】はレーシングドライバーで自動車評論家の木下隆之さんが、最新のクルマ情報からモータースポーツまでクルマと社会を幅広く考察し、紹介する連載コラムです。更新は原則隔週金曜日。アーカイブはこちら。木下さんがSankeiBizで好評連載中のコラム【試乗スケッチ】こちらからどうぞ。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus