受験指導の現場から

夏休みの追い込みは無理 来春の受験は例年以上に計画性と堅実性が物を言う (1/2ページ)

吉田克己
吉田克己

 長期休暇の短縮も予定していた授業時間数には足らず

 仄聞するところによると、都立高校と区立中学の夏休みは、それぞれ2週間だけになるという。さらに、冬休みは1週間だけになる模様である。

 例年であれば、夏休みは6週間、冬休みは2週間ほどであるから、合わせて8週間。それが3週間となり、5週間も短縮されることになる。もっとも、3月の3週間を含めれば、すでに9週間ほどの休校期間が続いており、その半分程度しか取り戻せないことになる。さらに、登校再開からしばらくのあいだは、授業は午前中だけだったり午後だけだったりといった、学年ごとの分散登校となるなど、授業時間数がすぐに元どおりになるわけではない(地域にもよるが)。

 ということは、新学年が始まるはずだった4月以降の遅れ分は取り戻すが、3月の休校期間には無理には遡及しない、というのが現場での現実的な対応になりそうだ。

 例年どおりの夏期講習期間での追い込みは期待できず

 一方、塾はというと、どの学年も映像授業を中心に粛々とカリキュラムを進めているようだが、夏期講習会は8月に入ってからの開講とならざるを得ない。学校が長期休暇の期間は、本来どの塾も書き入れ時であり、受験学年の生徒にとっても「夏休みの過ごし方が受験の成否を決める!」と言われるくらい大事な時期なのだが、今年は良くも悪くもそうはならない。なにせ、夏休みは2週間しかない。

 となると、来春受験する生徒については、例年のような「部活期間が終わった後、夏休みに猛然と追い込みをかける」という絵図は描けない。昨年まで以上に、自律的にこつこつと努力できる子どもでなければ、勝利の女神は微笑んでくれなくなる。

 2学期が始まるまでの学習計画をしっかりと立てる

 本稿が公開される前後には、それぞれの学校や塾・予備校から2学期が始まる頃まで、あるいは3学期が始まる日までのスケジュールが公表されるはずだ。受験学年でなければ、それらのスケジュールに乗っかっていけば大きな問題はないだろうが、小6や公立校に通う中3・高3となれば、学校や塾・予備校の授業がない時間を何にどう使うかをしっかり決めてかかりたいところだ。

 とくに、半日しか学校がない日と土・日・祝日(登校・登塾しない日)の昼間(夕食までの時間)をどう過ごすか、有意義な時間にできるかが、大きな差につながる。

 筆者の経験に照らすと…例えば、学校が午前中だけの日、昼食後そのまま自宅にいると、たいがいの生徒は夕食後まで勉強しない。休日も、午前中はちょっと勉強していたかと思うと、昼食の後はだらだらしてしまうか遊びに出てしまう。

 そう、学校から帰って来てから(学校や塾に向かうまで)の時間を質の高い学習時間にできるかどうかが、まずは夏休みに入るまでの勝負どころであり、この期間に(なるべく早く)上手く軌道に乗せ、2学期が始まった時には軌道修正程度で済むようにしたい。

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