自動車の経年劣化に注意
気を付けたいのは経年劣化です。自動車は経年劣化するため、車両保険の金額は更新するたびに引き下げられます。例えば新車の価格が100万円であったとしても、5年後に自動車の価値が50万円となれば車両保険の契約金額が50万円になるということ。常に時価で評価されるため、10年目の自動車であれば車両保険金額は10万円程度あるいは0円に下がる可能性もあります。
このような点は保険会社が保険商品を改訂しなければ是正されませんから簡単に変わることもないでしょう。しかし、今後は車両保険金額を新車納入時点の価格を維持するような商品が求められる可能性もあります。その場合は当然保険料も高くなりますし、保険金詐欺も増える可能性があります。ですから、事故の際は時価を支払い、災害の時は再調達価格(新車価格)で支払うような商品設計にすれば、古い自動車をわざと破損させて車両保険を受け取るような保険詐欺的なモラルリスクはある程度回避できるものと思います。
自動車保険は毎年更新する設定の契約が多いので、毎年の水害状況だけでなく、他の災害の被害を見極めながら適宜保険を見直すことをお勧めいたします。
なお、車両保険では、地震、噴火、津波の被害が補償されませんので、補償に加えたい場合、別途特約を付帯する必要があります。
水害について、我が家は関係ないと思う人もいるでしょう。ただ、たまたま自動車運転中に水たまりに侵入し、冠水するというケースはそれなりに見かける自動車全損のパターンでもあります。自己判断よりも、まずは契約に付帯させるという意識も必要でしょう。
今後は、自動車を保有すること自体が金銭的に負担になると感じる人もでてくるでしょう。レンタカーやカーシェアであれば、水害リスクを考える必要はありません。今後、自動運転が安全に提供されるようになれば、自動車が無いと生活が成り立たない人も、マイカー保有に伴う経済的リスクを保有することなく、自動車を利用することも可能です。
車両保険は運転中にマイカーをぶつけるか否かではなく、自動車水没などの被害を受けた際に、いかに自己負担なく生活を再建できるかを念頭に、契約を検討されることをお勧めいたします。
【お金で損する人・得する人】は、FPなどお金のプロたちが、将来後悔しないため、制度に“搾取”されないため知っておきたいお金に関わるノウハウをわかりやすく解説する連載コラムです。アーカイブはこちら