ヘルスケア

新型コロナの後遺症2000人調査へ 呼吸機能低下の事例受け (1/2ページ)

 厚生労働省は、新型コロナウイルス感染者で退院後も呼吸機能の低下が続く「後遺症」のような事例があることを受け、2000人を対象に、原因を調べる研究を8月から始める。患者が回復後も身体や認知機能の低下で日常をすぐに取り戻せない実態も次第に明らかになっており、原因を突き止め、治療や予防の方法を調べる方針という。

 コロナ感染者の中には、退院後も息苦しさが続いて自宅で酸素吸入が必要だったり、疲れやすくなったりする人がいるとの報告がある。炎症で肺の組織が壊れるなどの原因が考えられているが、詳しく分かっていない。

 多くの感染者が出ているイタリアの呼吸器学会は5月、新型コロナ感染症から回復した人のうち3割に呼吸器疾患などの後遺症が生じる可能性があると指摘。少なくとも6カ月は肺にリスクがある状態が続く懸念があるという。

 今回の研究では、入院やホテル療養をしていたときの症状の程度に応じて対象者を2つのグループに分ける。

 症状が重く酸素投与が必要だった20歳以上の人には退院後、残っている症状を聞き取り、肺のコンピューター断層撮影(CT)や機能を調べる検査を実施。症状が比較的軽かった人は、残っている症状の聞き取りや血液の分析を行う。

 研究は来年3月末までで、各グループ1000人の参加を目標にする。

 長期リハビリ必要なケースも

 新型コロナウイルスの感染者が、世界全体で1400万人超となる中、患者が回復した後も体調不良を訴えるケースが次第に明らかになってきた。多様な症状を引き起こすとされる新型コロナウイルスの厄介な性質が大きく影響している可能性がある。

 新型コロナの入院患者を受け入れた「自治医科大付属さいたま医療センター」(さいたま市)。集中治療部の讃井將満(さぬい・まさみつ)部長は患者が抱える“後遺症”の深刻さを目の当たりにしている。

 人工呼吸器や人工心肺装置「ECMO(エクモ)」を要した重症患者の場合、回復しても筋力の低下で介助なしでは歩行が困難になるなど長期リハビリを強いられるケースがある。「治療で使う薬の影響もあり、社会復帰までには少なくとも2~3カ月、多くは半年近くを要することになる」と讃井氏は説明する。

 讃井氏によると、肺機能の低下で退院後も酸素吸入が必要となるケースが報告されているほか、脳や神経がダメージを受け、人や物の名前がすぐに出てこないなど認知機能の低下を招く恐れもある。息苦しさなどの体験がよみがえって、鼓動が早くなるといったPTSD(心的外傷後ストレス障害)や、鬱や強い不安感に襲われるという。

 重症化メカニズム、徐々に解明

 後遺症のリスクを伴う重症化のメカニズムも、徐々に明らかとなりつつある。

 新型コロナは発熱やせきの症状だけでなく、呼吸不全、腎臓や肝臓の障害のほか、脳梗塞など多様な症状を引き起こす恐れがある。その原因の一つとされるのは、ウイルスが血管の内壁の細胞を傷つけ、炎症が起きることで生じる血栓(血の塊)の形成だ。血流が止まり、臓器の機能低下につながる。

 もう一つが、「サイトカインストーム」(免疫の暴走)と呼ばれる現象だ。ウイルスを排除しようと働く免疫機能が突如暴走し、血管や臓器を傷つけてしまうことがある。サイトカインストームが起きると、体内で血栓ができやすい状態になるともいわれる。

 「新型コロナにはまだ特効薬がなく、患者は自身の免疫力による闘いを強いられる。重症患者に深刻な影響を及ぼす後遺症が出るのは、闘病生活が長くなることが影響していると考えられる」と讃井氏はいう。

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