鉄道業界インサイド

“最高の新幹線”「N700S」デビュー 見た目だけでは伝わらない驚異的進化 (1/2ページ)

枝久保達也
枝久保達也

 「最高の」を意味するSupreme

 7月1日、東海道新幹線に新型車両「N700S」がデビューした。7月1日時点で4編成が営業運転に投入されており、JR東海によれば2022年度までに40編成を導入する予定だという。JR東海は「N700S」で運行する列車をツイッターで告知する力の入れようだが、もうしばらくすれば意識せずとも出会える車両になるだろう。

 この「N700S」、現在の東海道新幹線の主力車両である「N700A」と、見た目と名前は似ているが、0系、100系、300系、700系、N700系に次ぐフルモデルチェンジの車両という位置付け。「N700S」の「S」は「最高の」を意味する「Supreme」の頭文字から取ったもので、安全性、安定性、快適性、環境性能その全てを最高レベルで提供する「最高の新幹線」を意味している。

 従来車からの改良点を見ていこう。まずはインテリアだ。普通車の座席に新しいリクライニング機構を採用。これまでは背もたれの角度が変わるだけだったが、グリーン車の座席と同様に背もたれと座面が連動して動くようになり、より快適に座ることができるようになる。

 また、これまで普通車のコンセントは1列につき1つの設置だったが、「N700S」は座席ごとにコンセントが設置されるため、隣の人に気兼ねせずにパソコンなどを使うことが可能になる。鉄道利用時に最も長い時間を過ごす座席まわりが快適になるのは、ヘビーユーザーにとっても嬉しい。

 安全面も着実に改良が行われている。まずATC(列車自動制御装置)とブレーキシステムを改良し、最高速度285km/hから地震発生時の停止距離を従来型車両よりも5%短縮した。また、地震など自然災害発生時の長時間停電時でも、車両に搭載したリチウムイオンバッテリーから電気を供給することで、低速での自走を可能とするシステムを初めて搭載した。これにより、橋梁やトンネルで停止してしまった場合でも、避難が容易な場所まで自力で移動が可能になる。また停電時はこれまでトイレを使用することができなかったが、バッテリーの電力でトイレの使用も可能になるという。

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