クルマ三昧

ヤナセ車の価値が車両だけにとどまらない理由 偉大なブランドを築いた功績 (1/2ページ)

木下隆之
木下隆之

 「いいものだけを世界から」-。こんなキャッチフレーズをご存知の方も多かろう。欧米車を中心に、自動車販売業を手がけてきた「株式会社ヤナセ」が掲げたかつてのキャッチフレーズである。

 輸入車市場を育てた功績

 1915年、梁瀬長太郎が創業した「梁瀬商会」は、後に「株式会社ヤナセ」となり、数多くの商品を輸入してきた。いわば、高度成長に沸く日本に、高級な舶来品を届ける商社としての役割を果たしてきた。ゼネラル・モーターズをはじめとしたアメ車の数々や、メルセデス・ベンツやフォルクスワーゲンといった欧州車を積極的に輸入し、日本の経済的な発展だけでなく、日本国民の生活を豊かにしてきた。その功績は大きい。

 日本の輸入車マーケットを育ててきたのはヤナセである。その畑がオイシイと見るや否や、海外の自動車メーカーがこぞって日本法人化を進め、ヤナセから輸入権を剥奪。「〇〇ジャパン」を名乗って直接輸入販売の体制を敷いた。だが、それまではヤナセこそが正規品の販売ディーラーであり、品質やサービスの高さを誇っていたのだ。

 「クルマはつくらない。クルマのある人生をつくっている」-。現在のキャッチフレーズはこれだ。ヤナセの生き様を物語っている。

 ヤナセが日本の輸入車市場をどれだけ育ててきたことか…。かつて僕ら自動車マスコミは、誌面編集のためにヤナセに赴いて、(現在のメーカーのように)広報車と呼ばれるモデルを借り受けていた。販売するだけではなく、日本の自動車文化をも育てていたのだ。

 ヤナセに入社し高級品の販売方法を学んだセールスマンがのちに各ディーラーに籍を移し、活躍しているという話も聞く。かつてこのコラムで紹介した「自動車販売業を憧れの職業に!」の著者、菊谷聡氏も、ヤナセの出身である。いまではプレミアムブランドのセールスマンを指導し手腕を発揮している。

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