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1.5Lの兄貴分 スズキ・ジムニーシエラ、不変の設計理念に見る進化 (1/4ページ)

SankeiBiz編集部

 ※現在、新型コロナウイルスの影響で【乗るログ】の取材を自粛しています。再開するまで当面の間、過去に注目を集めたアーカイブ記事を厳選して再掲載します。記事の内容は基本的に掲載当時の情報となります。

 《2019年9月掲載》今回は昨年7月に全面改良したスズキの軽自動車「ジムニー」に新開発の1.5Lエンジンを搭載した「ジムニーシエラ」を紹介する。半世紀にわたり独自のコンセプトを貫き、世界中で愛され続けるジムニーシリーズの“後から生まれた兄貴分”は、第4世代に移行してどのような進化を遂げているのだろうか。東京-山中湖を往復する約300kmのドライブを通してその魅力に迫る。(文・写真 大竹信生/SankeiBiz編集部)

 室内寸法はジムニーと一緒

 いきなりではあるが、試乗の前に一つだけあきらめたことがある。「魅力に迫る」と記しておきながら恐縮なのだが、過酷な自然環境を再現したテストコースを走るならまだしも、今回のような日常シーンにおける試乗だけではジムニーのフルポテンシャルを引き出すことは無理だ。その点は割り切ったうえでステアリングを握った。

 実に20年ぶりのフルモデルチェンジだ。1970年に初代モデルが誕生してから48年が経過し、今回が4世代目となる。これはとてつもなく長いモデルサイクルだ。これまでにアジア・ヨーロッパを中心に190以上の国・地域で285万台を販売してきたスズキを代表するモデルであり、実力派コンパクト4WDとして世界中の建設現場や牧場、雪山や森林といったフィールドにおける活躍はもちろん、消防車両や砂漠仕様といった海外専用モデルも作ってきた。このジムニーをベースに開発されたのが、登録車バージョンのシエラだ。

 シエラ自体は1977年に発売された「ジムニー8」をルーツに持つ。実際に「シエラ」の名前が誕生したのは1993年。シエラネバダなどの地名からも分かるように、スペイン語で「山脈」を意味する。

 先述の通り軽のジムニーがベース車であり、車両寸法はそれほど大きくは変わらない。ボディーサイズを比較すると、ジムニーの《全長3395×全幅1475×全高1725mm》に対してシエラは《同3550×1645×1730mm》。外寸についてはオーバーフェンダーとサイドアンダーガーニッシュを装着し、ややワイドトレッドで最低地上高もジムニーより5mmほど高い210mmを誇るシエラの方が若干大きいが、室内寸法は《長さ1795×幅1300×高さ1200mm》で全く同じだ。

 ジムニーはデビュー当初から本格4WDを目指し、極悪路での走破性を高めるために「コンパクトボディー」「ラダーフレーム」「前後リジッドアクスル式サスペンション」「FRレイアウトと副変速機付きパートタイム4WD」という基本構造に一貫してこだわってきた。このDNAは第4世代に生まれ変わっても継承しており、もちろんシエラにも引き継がれている。

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