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出版社がレストラン経営 元敏腕編集者が編み出した「本格日替わり定食」とは (1/2ページ)

波溝康三

 編集者がレストランを手掛けたら…。東京の大手出版社「KADOKAWA」が、今月、埼玉県所沢市に直営のレストラン「角川食堂」をオープンし、話題を呼んでいる。仕掛け人は、世界的ベストセラー作家、エラリー・クイーンの翻訳本などを手掛けてきた同社の元編集者、津々見潤子さん。「読書など活字文化は人生にとって欠かせない大切なものですが、『食べること』は生きるための根源。もっとこだわってもいいのではないか?」。長年こう考えてきた津々見さんは編集部を飛び出し、食の世界という未知の分野で挑戦中だ。無農薬野菜を採り入れた日替わり定食や、出版人もうなるオリジナルブレンドのコーヒーなど編集者の感性から繰り出す究極のメニューとは…。

 今年11月、KADOKAWAが運営するイベントホールやミュージアム、図書館、商業施設にホテルなども備えた大型複合施設「ところざわサクラタウン」が、グランドオープンする。

 新型コロナウイルスによる自粛などで開業予定がずれ込んでいるが、今月始め、KADOKAWAのオフィスフロアやミュージアムなど施設の一部がプレオープンした。これに合わせ、津々見さんたちが準備を進めてきた角川食堂も営業をスタート。元編集者がこだわりぬいて完成させた究極のメニューが、遂にそのベールを脱いだ。

 「レストランを作れ!」

 角川食堂には、普通のレストランのような決まったグランドメニューはない。

 お勧めの料理を聞くと、津々見さんは笑顔で、こう説明し始めた。

 「その日朝、地元などで収穫した新鮮な食材の種類によって、毎日おかずのメニューが変わる日替わり定食がお勧めです。それに、カレー好きの社員にアイデアを募って完成させたスパイスカレー。食後は、コーヒーにうるさい編集者たちをもうならせた焙煎からこだわり抜いたブレンドコーヒーも、ぜひ味わってみてください」

 食堂運営が軌道に乗るかどうかが不安だと言いながらも、オープンに向けてメニューの企画、研究を進めてきた津々見さんの表情は自信に満ちていた。

 元編集者の津々見さんの現在の社内での肩書は、レクリエーション事業局フードビジネス課長。

 津々見さんは1971年、佐賀県生まれ。東京外国語大学卒業後、都内の出版社などを経て、2002年にKADOKAWAへ入社した。書籍編集部に配属され文芸担当の編集者としてエラリー・クイーンの新訳シリーズなどの編集を担当してきたが、2016年、突然、上司に呼び出され、こう伝えられた。

 「あなたは給料の半分以上を食費にかけるほどの“食通”と聞いているが本当か? 実は社内で計画中の、あるプロジェクトをやってほしいのだが…」

 社内でも極秘だったプロジェクトとは、デンマークにある世界最高峰のレストラン「ノーマ(NOMA)」のような店を、日本で出店できないか、という計画だった。もちろん、レストラン経営はKADOKAWAにとって初めてのプロジェクトだった。

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