クルマ三昧

クルマのEV化がタイヤエンジニアを悩ませる? 静粛性の要求「厳しくて」 (1/2ページ)

木下隆之
木下隆之

 注目されるタイヤの静粛性

 クルマ業界は電動化に向かって突き進んでいる。1997年にトヨタがハイブリッド専用車プリウスをデビューさせたのを皮切りに、クルマ業界に電動化の波が押し寄せた。

 「21世紀に間に合いました」-。そのキャッチフレーズには強烈なインパクトがあった。地球温暖化に端を発する排気ガスによる環境破壊が叫ばれはじめたその時期、時代を一気にEV化に向かわせるメッセージだったように思う。

 それ以来、各社はEV化を急いでいるのはご存知のとおり。各国がEハイブリッドを含むクルマの電動化を優遇していることも大きな後押しとなっており、クルマは確実に電動化に向かっている。

 その一方で、俄然注目されているのがタイヤの静粛性だ。クルマのEV化が進むに従って、タイヤが発生するノイズが気になり始めたユーザーも多かろう。クルマにとって主なノイズの発生源であったエンジンがなくなったことで、タイヤのノイズが耳に意識されることになった。これまでエンジン音にかき消されていたタイヤノイズが、煩わしくなったのである。

 タイヤの果たす役割は重要だ。クルマと路面の唯一の接点はタイヤだからだ。走る、止まる、曲がるを支えているのはタイヤである。直進性を保ち、旋回性を支えてもいる。雨の日には高いウエット性能が事故を減らしてくれている。雪道でチェーンを履かずに走れるようになったのは、まさにタイヤの性能が優れているからである。

 それに加えて、転がり抵抗を減らすことで燃費を稼ぐこともある。柔軟性を含ませることで、乗り心地を高めている。日常のパンクも驚くほど減った。タイヤが交通の流れを円滑にしていることは確かなのだ。そんな縁の下の力持ちであるタイヤに、市場はさらに高い静粛性を求める。

-このタイヤ、うるさいね

-本当だね。ゴーゴーと唸っている

-会話がしづらいね

 こんな会話がなされることが少なくない。これまでエンジン音が支配していた騒音の源がタイヤになったのだ。

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