受験指導の現場から

コロナで学力差は広がったかもしれない 受験をめぐる階層別「傾向」 (2/2ページ)

吉田克己
吉田克己

受験で表面化しそうな傾向と2学期滑り出しの対策

 以上のような見解を踏まえると、来春の受験では偏差値別の各層それぞれで、いくつかの傾向が現れてもおかしくはない。

  • 上位層:「押さえ」の選択肢が広がる
  • 中間層:実質的な競争率(倍率)に低下傾向が出てくる
  • 下位層:一発逆転のチャンスが広がる可能性がある

 ただし、今年度の後半は、とくに中間層において、例年以上に上下の流動性が大きいと考えられるため、勝負は現場がようやく正常化した夏以降が本番と前向きに捉え、コンスタントに学力を伸ばし続けられるかどうか次第であることは言うまでもない。

 では、2学期のスタートにあたって、最初に必ずやるべきことは何か? 9月上・中旬に実施される模試を受け、その結果を元に弱点をきちんと分析することを嚆矢としたい。

 模試を受けさせるだけ受けさせておいて、夏休み前と数字を比較するだけで、それ以上は何もしない、という親は少なくない。模試は、結果を活かすことが最大事である。

 親自身が分析をして学習計画を立てるのは心許ないということであれば、塾に相談して分析・立案してもらい、塾からのフィードバックを親子で一緒に受けるのが理想的だ。

 優先してやるべきことが見えれば、子ども自身の張り合いも出る。せっかく、短い夏休みを夏期講習会に通って頑張ったんだから、親は子どものモチベーションを途切れさせないことに注力したい。

京都大学工学部卒。株式会社リクルートを経て2002年3月に独立。産業能率大学通信講座「『週刊ダイヤモンド』でビジネストレンドを読む」(小論文)講師、近畿大学工学部非常勤講師。日頃は小~高校生の受験指導(理数系科目)に携わっている。「ダイヤモンド・オンライン」でも記事の企画編集・執筆に携わるほか、各種活字メディアの編集・制作ディレクターを務める。編・著書に『三国志で学ぶランチェスターの法則』『シェールガス革命とは何か』『元素変換現代版<錬金術>のフロンティア』ほか。

受験指導の現場から】は、吉田克己さんが日々受験を志す生徒に接している現場実感に照らし、教育に関する様々な情報をお届けする連載コラムです。受験生予備軍をもつ家庭を応援します。更新は原則第1水曜日。アーカイブはこちら

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