島を歩く 日本を見る

伝統と融合、アートで活性 佐久島(愛知県西尾市) (2/2ページ)

 戦前まで、島内には弘法大師を祀(まつ)った祠(ほこら)が八十八カ所あり、島外から巡礼者も多く来ていたそうだ。一度荒れ果て、放置された座像や祠は、アーティストたちが再制作して、現在八十八カ所めぐりも復活を遂げている。

 長い歳月をかけて、少しずつ作品を増やしてきた中で、「アートが島をひっぱり、島がアートをひっぱる」という素敵な互助関係が築かれている。

 かつては一軒もなかったレンタル自転車やカフェもでき、昨年には動物写真家の岩合光昭(いわごう・みつあき)氏が初監督をつとめた映画「ねことじいちゃん」のロケ地となった。今では多くの観光客が足を運ぶ。

 私も、自転車で島中に点在する数々のアート作品をめぐった。その道すがら、コールタールを塗った伝統的な黒壁の日本家屋や小さな漁船が停泊する情緒的な港など、素朴な島の風情をたっぷり味わった。

 小さな島が起こした奇跡は、島と日本の豊かな未来を守る術(すべ)や大きな気づきを教えてくれる。

 【アクセス】

 愛知県西尾市の一色港から市営高速船で約25分

 【プロフィル】

 小林希(こばやし・のぞみ)

 昭和57年生まれ、東京都出身。元編集者。出版社を退社し、世界放浪の旅へ。1年後に帰国して、『恋する旅女、世界をゆく-29歳、会社を辞めて旅に出た』(幻冬舎文庫)で作家に転身。主に旅、島、猫をテーマに執筆およびフォトグラファーとして活動している。これまで世界60カ国、日本の離島は100島をめぐった。令和元年、日本旅客船協会の船旅アンバサダーに就任。新著は『今こそもっと自由に、気軽に行きたい! 海外テーマ旅』(幻冬舎)。

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