クルマ三昧

愛車にも欠かせぬ“主治医” 部品交換だけで高額請求のチェンジニアに注意 (2/2ページ)

木下隆之
木下隆之

 かかりつけ医がいれば安心

 駆け込み寺にすがるようにある整備士に修理を依頼したら、バッテリーの漏電が原因であることを突き止め、わずか3000円で完治した。電子制御サスペンションはアッセンブリー(組み立て加工)で交換すれば100万円コースだと噂されていたが、その整備士は、本体ではなく小さなブーツと呼ばれるゴム製の部品の消耗が原因であることを発見、オークションサイト「ヤフオク!」でパーツを購入してくれた。数日後に僕の手元に届いた請求書には「修理費5万2000円」と記載されていたのだ。ディーラーではたびたび請求されてきた6万円が3000円になり、部品交換100万円がわずか5万2000円で済んだのである。

 安易な点検で高額な請求をされる程度ならば被害は軽微なほうで、サスペンションから異音が発生、ギクシャクと足を引きずるようにしてディーラーに駆け込んだのに、「トラブルではありませんよ」と押し返されたことも。4WDシステムから異音が発生すると指摘したら「4WDってそんなものですよ」と回答されたこともある。もちろん、後日主治医に修理を依頼したら、数日後には見事に治ったのは言うまでもない。「車検ですからね」と、先月交換したばかりの新品のブレーキパッドを交換しようとしたディーラーもあった。

 なんだか愚痴のようになってしまったけれど、そんなチェンジニアが多いのも確かなのである。

 とはいうものの、問題もなくはない。僕の主治医の仕事ぶりは懇切丁寧で完璧なのだが、時間がかかる。原因究明と徹底した修理に時間が必要なのだろう。時には修理に2週間ほどかかることもある。ただ、安価に絶大なる安心が手に入るならば愛車にもかかりつけ医を持つことが大切である。

木下隆之(きのした・たかゆき)
木下隆之(きのした・たかゆき) レーシングドライバー/自動車評論家
ブランドアドバイザー/ドライビングディレクター
東京都出身。明治学院大学卒業。出版社編集部勤務を経て独立。国内外のトップカテゴリーで優勝多数。スーパー耐久最多勝記録保持。ニュルブルクリンク24時間(ドイツ)日本人最高位、最多出場記録更新中。雑誌/Webで連載コラム多数。CM等のドライビングディレクター、イベントを企画するなどクリエイティブ業務多数。クルマ好きの青春を綴った「ジェイズな奴ら」(ネコ・バプリッシング)、経済書「豊田章男の人間力」(学研パブリッシング)等を上梓。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。日本自動車ジャーナリスト協会会員。

【クルマ三昧】はレーシングドライバーで自動車評論家の木下隆之さんが、最新のクルマ情報からモータースポーツまでクルマと社会を幅広く考察し、紹介する連載コラムです。更新は原則隔週金曜日。アーカイブはこちら。木下さんがSankeiBizで好評連載中のコラム【試乗スケッチ】こちらからどうぞ。

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