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資産運用のリアルな実態 ピケティのr>gが差を広げる その2・ヘッジファンド (1/2ページ)

高橋成壽
高橋成壽

 資産運用の世界では、富める者はさらに富み栄えます。一世を風靡した、トマ・ピケティは資本家による資本収益率が経済成長率を上回ると説きます。日本に住む多くの人は、資本収益率も経済成長率も触れる機会の少ない概念でしょう。端的に表現すると投資家は効率よく財産が増えることでより栄え、市民は財産形成に苦労するということになります。

 筆者は10年以上ファイナンシャルプランナーの仕事に従事しており、色々なご家庭の資産運用の状況を見てまいりました。その中で、富裕層とよばれる金融資産が1億円以上の人と富裕層に入らない一般の人との違いとは何かを、資産運用という観点からお伝えします。

 前回の債券投資に続き、今回はヘッジファンドについて解説いたします。ヘッジファンドとは、市場の値動きの上げ下げがあっても着実な利益を確保することを目標に、金融の技術をフルに活用して資産運用をする会社であり、運用商品です。

ヘッジファンドの悪いイメージ

 ヘッジファンドという言葉を初めて聞く人の方が多いでしょう。ヘッジファンドを知っている人は、新聞から情報を得ている場合悪い印象を持っている人もいるでしょう。日本ではヘッジファンドという言葉は謎の投機集団のように捉えられています。

 株式市場の暴落原因、為替の大幅な値動きはヘッジファンドの影響とニュースになることもあります。筆者は友人がヘッジファンドに勤めていたり、過去にヘッジファンドで働いていたり、ヘッジファンドのファンドマネージャーであったりと、ヘッジファンド関係者からお話を聞くことがあります。

 ヘッジファンドも様々あり、着実な投資成果を求める運用から、積極的な成果を得ようとするファンドまでひとくくりにはできない多様性があります。現実にはヘッジファンドは情報が公開されていないため、よくわからないというのが本当のところだと思います。海外では投資先として認知されており、アメリカでは確定拠出年金の投資先に組み込まれるという話もあります。

 過去のヘッジファンド業界の著名人はジョージ・ソロス、ジム・ロジャーズなどがいます。

ヘッジファンドの運用体制

 ヘッジファンドの運用体制は大きなファンドであれば、投資信託と同様にチーム制となっています。単純に考えると調査する人と投資の意思決定をする人に分かれます。大きなファンドであればファンド全体の経営と投資の意思決定を兼ねていることもあります。

 筆者が知るあるヘッジファンドは運用者自らの資金と顧客の資金を一括して運用しています。このファンドの場合、運用者の利益と資金提供者である投資家の利害は一致します。ファンドとして利益を出すこと以外にありません。

 運用者の利益を出すというベクトルと利益を出して資産を増やしてほしいという投資家のベクトルは一緒になります。

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