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秋冬の味覚「鍋」に異変 今年は「こなべ」がトレンドに

 寒い季節の食卓の主役といえば鍋料理。しかし、大勢で大きな鍋をつつくのは、新型コロナウイルス感染予防のための新しい生活様式には不向きだ。家で自炊する「内食」では鍋料理も自粛傾向かと思いきや、人気は健在。1人用の小鍋で楽しむスタイルも注目されている。(榊聡美)

 猛暑でも熱々を

 コロナ禍の今年は、鍋料理にちょっとした変化が見られる。通常、冬から春へと季節が移り、気温が上昇するにつれて食卓からは遠ざかっていくが、今年は“シーズンオフ”がなかったという見方がある。

 約4万5千点もの鍋料理関連の食品を取り扱う、インターネット通販サイト「楽天市場」は、春から鍋食材の売り上げが好調を続ける。今年の4~9月の売り上げは、昨年同時期の約4倍に上ったという。

 「在宅時間が長くなり、自炊をする家庭が増えた。手軽に作れて野菜がたっぷり取れるメニューとして、今年は猛暑の中でも、鍋料理への注目が高まったと考えられます」(広報担当者)

 今冬はコロナ感染予防の観点から、「1人鍋」のニーズも高まるとみて、具材とつゆを合わせたもつ鍋やふぐ鍋など、1人分の鍋セットのラインアップを拡充させた。

 小さく、個別に「こなべ」で楽しむ

 飲食店検索サイトを運営する「ぐるなび」は、令和2年版トレンド鍋を「みんなでこなべ」に決定し、先月発表した。

 こなべは、小さな鍋(小鍋)に加え、個別に楽しむ鍋(個鍋)の意味も含む。

 トレンド鍋は平成21年の「トマト鍋」から始まり、その年に話題を呼んだ食材や味付けで仕上げた鍋が選出されてきた。今年は適切な距離を守りつつ、家族や友人と一緒に楽しむ、という新しい生活様式を取り入れた鍋のスタイルが選ばれた。

 ここ数年、小鍋は外食、内食ともに人気がある。おひとりさま向けの飲食店が増える中、しゃぶしゃぶやすき焼きなどの1人鍋を提供する店が話題に。

 2年前からは、小鍋のレシピ本の出版が相次ぎ、家庭でも楽しむ人が急増している。「単身世帯の増加や、家族そろって食事をする機会が減っていることが背景にあります」と、ぐるなび大学の小崎俊幸さん。

 小鍋そのものの人気に加え、ウィズコロナに合ったスタイルで、さらに広がりを見せると予測する。

 ベースの鍋は同じでも、具材やだし、つけだれを個々の好みに自由にアレンジができるのが「みんなでこなべ」の特徴だとか。家庭の中で、それぞれに違う味を楽しむことができる。

 一口に鍋といってもだしの味の濃淡や、辛味のきかせ具合など好みは千差万別。「締めもご飯派・麺派に分かれます。全てを自分の好みで選べるのが魅力です」と、管理栄養士の柴田真希さんは話す。

 小鍋はコンパクトな分、手軽に作れるという利点も。「鍋は100円ショップでも手に入りますし、カセットコンロを使わなくても作れます。具材を入れ、ガスコンロで加熱したらそのまま食卓へ運べばOK。市販の1人用の鍋つゆのもとを活用すると便利です」

 途中で卵やチーズなどを加え、味を自在に変えられるのも大きなポイントだ。

 自分好みの味わいをとことん極める-。今年はそんな鍋の楽しみ方が広がりそうだ。

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