ヘルスケア

寿命縮める「座り過ぎ」 運動の“貯金”帳消し、立ち机上手に利用を (1/2ページ)

 【100歳時代プロジェクト】新型コロナウイルスの感染拡大を受けて自宅などで過ごす時間が増える中、座って過ごす時間も長くなりがちだ。この「座り過ぎ」が高齢者らの生活習慣病のリスクを高め、ひいては寿命を縮めると指摘されている。運動習慣がある人でも、座っている時間が長くなれば運動の効果を帳消しにもしかねず、専門家は「ちょっとした動き」を日常生活で意識する重要性を訴えている。(山本雅人)

 死亡率4割増

 座り過ぎの危険性を指摘するのは、早稲田大スポーツ科学学術院の岡浩一朗教授。岡氏によると、オーストラリアで約22万人を対象に3年間追跡した研究では、1日のうちに座って過ごす時間が長い人ほど、がんや心臓病、脳卒中による死亡率がアップし、11時間以上の人は4時間未満の人に比べて、死亡率が4割も高かった。

 また、日本人が1日のうち座って過ごす時間は平均7時間とも指摘し、「先進20カ国(G20)の中でも最長だ」と語る。その一因として、靴を脱いで和室などで過ごす文化の影響もあるとした。

 また、「データの解析から、1日8時間以上座っていると、さまざまな病気のリスクが高まる」という。

 そのメカニズムはこうだ。座って動かないままでいるとふくらはぎや太ももの大きな筋肉が使われなくなる。すると、血中の糖や中性脂肪が血管内にとどまったままとなり、高血糖や動脈硬化で死亡するリスクがアップする。最近では、座り過ぎが認知機能に悪影響を及ぼすことも分かってきている。

 さらに、ジム通いやジョギングなどの運動習慣があったとしても、座る時間が長いほど病気のリスクが高まるとの報告もあり、「運動習慣の有無と座り過ぎは別物だと考えて、“後で運動すればカバーできる”といった考えは持たないほうがよい」とも語る。

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