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「新常態」の正月が来る 初詣・成人式・冬レジャーの景色一変 (1/2ページ)

 収束の気配がみえない新型コロナウイルスの感染拡大は、日本の正月の風景も変えそうだ。各地の神社は年始の初詣を前に感染対策に神経をとがらせ、成人式を中止とする自治体も。スケートなど冬のレジャーも、対応を迫られている。

 「三が日」こだわらぬ分散参拝を

 コロナ禍で迎える初めての年明けだけに、神社を訪れる参拝客の混雑がどの程度になるかは未知数だ。収束を願って祈りをささげる人々も多いとみられ、各神社は「密」を避けるための工夫を凝らしている。

 国内有数の参拝客数を誇る明治神宮(東京都渋谷区)では、正月三が日にこだわらない「分散参拝」を呼びかける予定だ。例年、大みそかから元日を迎えるタイミングと三が日の昼前後の時間帯に非常に混雑する。今回は参拝を三が日の早朝や三が日以外にするよう求めるという。

 ただ、参拝の日時が分散したとしても、賽銭(さいせん)箱がある社殿前での拝礼には時間が必要なため、参拝客が集中する可能性もある。屋外とはいえ感染リスクが生じる恐れがあり、一定の間隔を空けて順序よく進んでもらうよう誘導し、参道のモニターでもマスクの着用や距離の確保を強調する。

 拝礼後に縁起物やお札、お守りを求める参拝者が滞留することで密集度合いが増すことも懸念材料だ。今回は授与所を社殿前から離れた場所に設置し、人の流れがスムーズになるよう心がける。神楽殿内での祈願でも、扉を開けて参列人数を定員800人から減らすなどして「密閉、密集、密接」の3密対策を取る。

 密回避…年内の「幸先詣」広がる

 明治神宮では5日から縁起物の頒布を始めた。担当者は「新型コロナウイルスの流行で、今回はより深い祈りがあると思う。混雑しない日時を見計らってきていただき、手を合わせて静かにお祈りしてほしい」と話している。

 明治神宮と同様、密を避けるため年内から縁起物の授与を行う神社は多い。他にも、年内に参拝する「幸先詣(さいさきもうで)」という名称も生まれ、広がりをみせている。

 関東のある神社では、12月初旬の平日に午前中から地元住民らが間隔を空けて整列し、授与所のアクリル板越しに破魔矢や干支の丑にちなんだ絵馬、お守りなどを求めていた。この神社では三が日、授与所前に足型のマットを並べて間隔を確保する予定。三が日に例年70万人が訪れる鹿島神宮(茨城県鹿嶋市)では、体温を測定するカメラを導入する。37・5度以上が確認され、体調が悪い場合などには、境内に進まず本殿に向かって手を合わせる「遥拝(ようはい)」で済ませてもらうという。三が日ではなく、節分(2月2日)までの「三十三が日」の参拝も提唱している。

 都市部から帰省…決断迫られる地方

 新成人の門出を祝う成人式だが、感染者の多い都市部に進学・就職している新成人の多い地方の自治体では、延期・中止を決めたり検査費用を負担して実施するなどの決断を迫られている。都市部でも会場を急遽(きゅうきょ)増やすなど苦慮している。

 青森県によると、例年、冬場に成人式を行う22市町村のうち、田子町などが来年夏に延期、野辺地町などは中止を決めた。

 1月3日に成人式を予定していた鶴田町では、新成人128人の半数近くが県外暮らし。町教育委員会の担当者は「直前で中止となると振り袖や美容院を予約していた新成人は困る。少しでも早く知らせた方がいいと考えた」と語る。時期は未定だが新成人で構成する実行委員会で代替の行事を計画しているという。

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