コロナ その時、

(17)2020年7月10~22日 Go To見切り発車、広がる感染経路 (1/2ページ)

 政府は2020年7月22日、新型コロナウイルス感染で打撃を受けた観光業界を支援する「Go To トラベル」事業を前倒しで開始した。だが、感染拡大の第2波を迎えた東京都を対象とするか、キャンセルを補償するかなどをめぐり方針が迷走。日本中が混乱する騒動となった。

 東京除外で「GoTo」混乱 感染拡大、夜の街から家庭内へ

 政府は「Go To トラベル」を当初8月に始める予定だったが、赤羽一嘉国土交通相は7月10日の会見で、「夏休みが支援の対象になるようにとの要望が強かった」と説明した。

 だが、自粛していた帰省や観光を心待ちにする人々がいる一方で、首都圏では新型コロナウイルスの感染者が再び増えており、東京都は12日に206人と4日連続で200人を突破。小池百合子知事は15日、「不要不急の都外への外出はできるだけお控えいただきたい」と呼び掛けた。

 開始まで1週間を切った翌16日、政府は東京だけを事業対象から除外したが、準備不足の見切り発車という感は否めない。制度に参加する旅行代理店や予約サイトの決定は間に合わず、旅行者は後日還付手続きをする必要が生じた。鬼怒川温泉(栃木県日光市)の老舗「あさやホテル」では、16日からの一昼夜だけでキャンセルが200件以上あり、「大口の東京が除外では効果も半減」と嘆いた。

 キャンセルの扱いも迷走した。赤羽国交相は17日、「国として補償は考えていない」と明言したが、同じ公明党の石田祝稔政調会長が同日、「国が考える必要がある」と“待った”をかけると、菅義偉官房長官は20日、「必要な対応を早急に行う」と方針を転換した。

 トランプ氏もマスク

 欧州連合(EU)は17日から対面方式の首脳会議を約5カ月ぶりに開き、7500億ユーロ(約92兆円)の「復興基金」設立で合意した。協議は難航したが、新型コロナ恐慌への危機感が加盟国の背中を押した。

 一方、米国や新興国はウイルスの押さえ込みに苦心しており、世界はまだら模様になっていた。

 トランプ米大統領は11日に首都ワシントン郊外の軍医療施設を訪れた際、公の場で初めてマスク姿を見せた。16日に累計感染者が200万人を超えたブラジルのボルソナロ大統領もマスク嫌いで知られたが、自身が感染した。インドは17日に累計感染者が100万人を超えたことが判明。都市封鎖が段階的に解除され、行き来が増えていた。

 世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は13日、「多くの国が間違った方向に行ってしまっている」と述べた。

 観客入れ大相撲初日

 将棋の高校生棋士、藤井聡太七段(当時)が16日、棋聖戦を制し、タイトル獲得最年少記録を更新(17歳11カ月)。普段は将棋をほとんど取り上げないテレビのワイドショーまでが活躍を報じ、コロナ禍で沈む社会に明るい話題を提供した。

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