個性を主張するエクステリア
実はMX-30のデザイン的な魅力は観音開きだけではなく、明らかに個性を主張するエクステリアや、目新しいレイアウトのインテリアなどからも感じる。マツダのデザインポリシーは「引き算の美学」である。捻(ひね)ったり盛り上げたりが流行のカーデザインの風潮のなか、突起や捻りを極力減らすことで、すっきりとした佇(たたず)まいを得るのがマツダの特徴である。その意味ではMX-30は、デザイナーの筆さばきはダイナミックであり自由である。
肝心の走り味は優しい。搭載するエンジンは直列4気筒2リッターNAであり、最高出力156ps、最大トルク199Nmを発揮する。出力が控えめなのはマツダ製スカイアクティブユニットの特徴だが、今回はそのガソリンエンジンにモーターがアシストする。モーターの最高出力は6.9ps、最大トルクは49Nmと控えめだ。したがって、力強い加速が味わえるわけではなく、ハードなコーナリングを受け止めるタイプでもない。エクステリアから感じる印象は多分にアクティブだが、走りは優しい。デザインだけで、アクティブなユーザーを取り込んでいるのだ。
ちなみに、このMX-30をベースにしたEV(電気自動車)が間もなく誕生する。マツダがこのクルマにかける意気込みは強い。
【試乗スケッチ】は、レーシングドライバーで自動車評論家の木下隆之さんが、今話題の興味深いクルマを紹介する試乗コラムです。更新は原則隔週火曜日。アーカイブはこちら。木下さんがSankeiBizで好評連載中のコラム【クルマ三昧】はこちらからどうぞ。YouTubeの「木下隆之channel CARドロイド」も随時更新中です。