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eスポーツで「課題遂行能力が向上」 ゲームへの“風向き”に変化も (2/2ページ)

 ゲームプレイの効果は…

 「課題遂行能力」とは、課題を早期に発見し解決に向けて対処する力を指す。思考の柔軟性や短期的な記憶力にもつながり、学習や仕事の能力にも影響するという。また、高齢者にとっては歩行時に障害物を避けるなどの「注意力」や「視覚探索能力」などにも関連することから、多くの人にとって日常生活に強く関わる能力であることがうかがえる。

 業界密着型の教育機関「ヒューマンアカデミー」のeSports学科で腕を磨く学生4人と、講師として指導するプロのeスポーツプレイヤー2人を対象としたこの検証では、「トレイルメイキングテスト」(TMT)と呼ばれる複数課題遂行能力を測定する指標が用いられた。

 実施されたテストは2種類で、1から25までの数字が不規則に並べられた中、できるだけ早く番号順に線をつなぐ「Aタイプ」と、13個の数字と12個のひらがなを「数字→ひらがな→数字→ひらがな」と順番に線でつなぐ「Bタイプ」があり、そのタイムを計測する。いずれも回答時間が早いほど能力が高いと言え、全員が「Aタイプ」「Bタイプ」両方を行い、ゲームのプレイ前後のタイムを比較。すると、学生とプロ両者で、ゲームプレイ前と比較してプレイ後のタイムが大幅に短縮される結果になった。別日に実施した場合でも同様の短縮効果がみられたことで、ゲームエイジ総研は「継続的にゲームプレイすることによる課題遂行能力向上の可能性も示された」としている。

 「ゲームプレイ」の見方に変化も

 かつては、テレビゲームとそれに熱中する若者が問題視される時期もあった。2002年7月に出版された「ゲーム脳の恐怖」という書籍をきっかけに「ゲーム脳」という言葉が広く社会に知れ渡った。当時から若者の娯楽として浸透していたテレビゲームが脳波に影響を与え、情動抑制や判断力にダメージを受けているという説で、メディアや教育関係者に大きく取り上げられた。しかしその後、さまざまな研究者から批判を受け、月日の経過とともにそのワードを聞く機会も減っていった。

 社会的にネガティブなイメージも付きやすかったテレビゲームだが、近年ではプレイすることへの見方にも変化がみられる。動画配信サイトのユーチューブでは「ゲーム実況者」と呼ばれる、トークをしながらゲームのプレイ動画を配信するユーチューバーが人気を集めている。その流れは地上波に波及し、人気芸人やタレントがゲームをプレイする番組も次々と立ち上がり、今やゲームをプレイするという行為そのものがコンテンツになっている。

 その変化は若者世代の認識にも表れており、ソニー生命が発表した2019年の男子中学生の将来なりたい職業ランキングでは、2017年に3位だった「Youtuberなどの動画投稿者」が1位になり、トップ10にすら入っていなかった「プロeスポーツプレイヤ―」が2位に続いた。今の若者にとってはゲームプレイが一つの「職業」として認識され、将来の仕事の選択肢にもなっているようだ。

 少しずつ変化を遂げるゲームを取り巻く環境。ゲームエイジ総研は「継続的なゲームプレイにより、ゲームのパフォーマンス向上だけではなく、日頃の生活での生産性の向上や教育分野など、幅広い領域への応用を具体化しながらゲームのすそ野を広げていきたい」と、ゲームが社会的に果たす役割拡大に向けて意欲を示す。

SankeiBiz編集部
SankeiBiz編集部 SankeiBiz編集部員
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