新時代のマネー戦略

副業収入「20万円以下なら確定申告は不要」と言い切れない 社会保険にも注意 (1/3ページ)

小沢美奈子
小沢美奈子

 働き方が多様化している中、副業を検討したり、実際に始めたりした人もいるのではないでしょうか。人生100年時代では、1つの仕事やスキルだけでは通用しなくなるとも言われています。また、リモートワークの普及で副業がしやすい時代にもなりました。本業以外の副業や兼業を通して得る知識や経験は、今後のキャリアの中で生きてくるでしょう。とはいえ、副業を始めるにあたり、事前に知っておいた方がいいこともあります。そこで副業にまつわる役立つ情報や知識をお伝えします。

副業でスタートしたFP業

 実は筆者自身も現在の仕事を副業から始めたという経緯があります。筆者は現在マネー記事の執筆などを多く手掛けているファイナンシャルプランナー(FP)です。

 FPの資格を取得した約10年前は企業に勤めており、資格を新たな仕事につなげたいと考えていました。そんな折、知り合いから紹介されたのがライターの仕事でした。「FPという専門家の立場でお金に関する記事を書く」というものでした。当時の筆者は、「将来FPとして独立したい」という想いはあったのですが、すぐに独立する勇気はありませんでした。けれども「副業なら大きなリスクを背負わず経験値を積める」と思い、ライターの仕事を始めることにしたのです。

副業をするメリット・デメリット

 さて副業はさまざまなプラスの効果が期待できる一方で、マイナス面もはらんでいます。副業をする際の一般的なメリットとデメリットを、整理をしてみましょう。

メリット

  • 収入がアップする
  • 本業では得られない知識やスキルが身に付く
  • 人脈が広がる
  • 本業の安定した収入を生かして、収入に関係なく自分のやりたいことが実現できる
  • 将来起業を考えている場合は副業でやりたいことを試せる

デメリット

  • 長時間労働につながることもある
  • 本業に注力する時間が短くなり、業務に支障をきたすこともある
  • 本業の評価が下がる可能性もある
  • 個人情報や機密情報など、情報の管理が難しくなる
  • 本業、副業、プライベートでのタスク管理が複雑化する

 筆者自身の話に戻します。実際に筆者が副業時代に苦労したのが、「タスク管理の難しさ」でした。

 最初は月に4本程度のコラムの執筆だったのですが、本数が徐々に増え、月に10本程度書くようになりました。当然ながら執筆のための時間も増え、本業のみならず、家事や子育ての時間とのバランスが難しくなりました。

 結局本業を辞めてフリーランスで仕事をすることになったのですが、副業を始める場合は、本業と副業との間でどのような問題が起きるのか、問題が起きた場合の対処法などを事前に考えておくことが両立を図る上で大切だと言えます。

金銭的な理由で副業を始める人が多い

 実際に副業をどのような理由で始める人が多いのでしょうか。マイナビが実施した「副業に関する意識調査 *1」から確認してみましょう。

「副業を始めたいと思った理由」

  • 1位 「お小遣い・趣味に使える収入を増やしたいから」(52.8%)
  • 2位 「将来への備え・貯金を増やしたいから」(48.3%)
  • 3位 「将来の収入への不安を感じたから」(40.4%)
  • 4位 「スキル・経験を身に付けたいから」(22.8%)
  • 5位 「生きがい、ライフワークを見つけたいから」(22.1%)

 このように、1~3位を占めているのが「金銭的な理由」であることがわかります。キャリアップを見据えて副業を始める人(4位と5位)は全体の2割くらいのようです。

 次に副業で得ている収入についても確認してみましょう。

「副業で月に得ている収入」

  • 1位 「3万円以下」(47.2%)
  • 2位 「~5万円」(21.1%)
  • 3位 「~10万円」(17.6%)
  • 4位 「~20万円」(10.6%)
  • 5位 「それ以上」(3.5%)

 全体のうち、約7割の人が「~5万円」の収入を得ています。「~20万円」と「それ以上」稼いでいる人の割合を合計すると約1割。それなりに稼いでいる人はまだ少数派のようです。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus